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[II-OR115-04] 横隔神経麻痺に対する横隔膜縫縮術の至適施行時期についての検討
Keywords:横隔神経麻痺、横隔膜縫縮術、術後合併症
[背景] 縫縮を必要とする心臓手術後横隔神経麻痺では横隔膜が完全に弛緩してから縫縮手術を施行してきた。[目的] 2014年11月より横隔神経麻痺症例では診断が付き次第、準緊急的に縫縮術を施行する方針へ変更した。この方針変更前後の症例を比較検討すること。[対象] 2007年4月から2015年12月までに心臓手術と同一入院中に施行した横隔膜縫縮手術症例19例 (男12例:女7例)を対象とし、方針変更前13例をA群、方針変更後6例をB群とした。検討項目は縫縮術までの日数:待機期間、縫縮術後挿管日数:挿管期間、心臓手術後からのICU滞在期間:ICU期間、横隔膜の状態:横隔膜状態とした。横隔膜状態に関しては、胸部XP正面像またはX線遠視にて吸気時に患側横隔膜が健側横隔膜±1肋間である症例を固定,2肋間以上挙上している症例を再発、呼気・吸気の胸部XP正面像またはX線遠視にて横隔膜の正常な運動を認めた症例を回復とした。[結果]手術時平均月齢・体重はA群:11.6ヶ月±21.5・4.8kg±3.7、B群:6.6ヶ月±5.3・6.7kg±5.2。待機期間はA群:21.2日±15.0、B:群5.0日±2.4(P<0.05)、この待機期間中に横隔神経麻痺が改善した症例は両群共に認めなかった。挿管期間はA群:6.3日±8.6、B群:3.0日±3.0(P=0.25)、ICU期間はA群:55.0日±25.6、B群:31.6±11.3(P<0.05)。横隔膜状態はA群:固定10例、回復2例(15.3%)、再発1例、平均観察期間2.2年±2.5、B群:固定3例、回復3例(50.0%)、平均観察期間0.5年±0.5。再発症例(再縫縮術を施行)を除き、横隔膜疾患に伴う呼吸障害は認めていない。 [考察] 両群共に縫縮術後の成績は安定していた。挿管期間では2群間に有意差を認めず、ICU滞在期間はA群に延長を認めた。また、両群間共に待機期間中に横隔神経麻痺が改善した症例を認め無かった事からも、横隔膜縫縮術が必要であると判断した際には,ためらうことなく速やかに縫縮手術を施行して良いと判断している。