第52回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

集中治療・周術期管理

一般口演1-15(II-OR115)
集中治療・周術期管理

2016年7月7日(木) 13:00 〜 13:50 第C会場 (オーロラ ウェスト)

座長:
須田 寛治(久留米大学)

II-OR115-01~II-OR115-05

13:00 〜 13:50

[II-OR115-05] 先天性心疾患術後の補助循環の検討

小渡 亮介, 鈴木 保之, 大徳 和之, 福田 幾夫 (弘前大学医学部 胸部心臓血管外科)

キーワード:ECMO、補助循環、術後

背景:心臓手術後の補助循環(ECMO)は機器の進歩もあり安全に行われるようになってきたが、その成績は満足するものではない。目的:当院の補助循環症例を検討し問題点を把握する。対象と方法: 2002年から2015年までに先天性心疾患手術後に補助循環を使用した28例(男:11,女:17, 年齢0か月-65歳:中央値7.5か月)を対象とした。それらに根治術12、姑息術16(人工心肺使用14)が行われた。心室形態は二心室16、単心室12、ECMO導入前に心肺蘇生を行った12、人工心肺から離脱できずECMOに移行した17であった。ECMOは10kg以下でローラーポンプ(Mera Co.,Tokyo, Japan)、それ以上はCapiox emergency bypass system (Terumo, Inc.)を使用し、血量100-120mL/kg/min、抗凝固はヘパリンやナファモスタットを用いてACT150-250秒にコントロールした。腎機能低下例には、ECMO回路からCHDFを行った。これらの症例でECMO離脱率、病院死、また離脱率・病院死に影響をあたえる因子を検討した。結果:ECMO離脱率は20例(71%)、その後の病院死は6例だった。離脱例のサポート期間は236±341時間、ECMO typeはVA 25、VV 3、回路交換は10例、再開胸止血が17例、追加手術7例、CHDF使用15例、経過中ECMO type変更・カニュレーション部位変更を5例で行った。ECMO離脱に関して心形態、手術の種類、ECMO前の心肺蘇生の有無、感染の有無、サポート時間、ECMO type、再開胸、追加手術の有無、その他合併症について統計学的に検討し、肝機能障害と多臓器不全が危険因子(P<0.05)だった。考察:ECMO離脱の成績は概ね良好だったが、蘇生により低酸素脳症を発症した例があり、速やかな補助開始が必要である。感染、多臓器不全によって離脱できないケースがあり、創部、カテーテル管理には充分注意が必要である。肝機能障害が危険因子だったが、full supportでもビリルビンが上昇する例がありさらなる検討が必要である。