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[II-PD01-04] フォンタン術後の学童期の現状
【背景】フォンタン型手術の遠隔期の問題は近年数多く指摘されているが、短期的な生命予後は向上し、学校生活を送る患児も多くなっている。しかし、フォンタン型手術を施行された学童の現状把握は十分ではない。【目的】当院でフォンタン型手術を施行した小中学生の外来の現状についてまとめた。【対象・方法】当院ではこれまで424人フォンタン型手術を施行しており、対象は2015年度現在当院外来に通院中の小中学生118例。臨床所見・検査所見・学校指導・合併症等について後方視的に検討した。【結果】中学生34人(男18人/女16人)、小学生84(男人48人/女36人)。平均SpO2:93%で、HOT使用は13.6%、レントゲン検査のCTRは平均44%(33-62%)、エコー上EFは60.5%(33-78%)、房室弁逆流はtrivial:32%,mild:47%, moderate:19%, severe:1%。CVPの平均値13mmHg(7-17mmHg)。抗凝固・血栓薬はワーファリン68%, アスピリン15%, チクロピジン5%。抗凝固・血栓薬以外では、服用なしが32%で、利尿剤48%, 血管拡張薬30%, 肺血管拡張薬30%,強心薬18%,カルベジロール17%, 抗不整脈薬4%。学校生活管理区分はC禁が17%、D禁が69%、D可3%、E可11%。学童期に発症した重篤な合併症はPLE3例、鋳型痰気管支炎3例、肝硬変1例、脊髄硬膜下出血1例であった。学童期の再手術は計7例(6%)で、PMI3例、CRT導入1例、fenestration creation1例、semiclosure1例、TCPC conversion1例。学童期に死亡した症例は4例(心不全2例、肺出血2例)であった。【まとめ】容量負荷を軽減するフォンタン型手術の恩恵を受けて、おおむね心拡大なく心収縮能は保たれている。抗凝固または抗血小板薬以外の薬を約7割が服用している。学校生活管理指導区分はD禁が7割と最も多かった。学童期での重篤な合併症の罹患率や再手術率、死亡率は低かった。現状を把握しこの児童たちが今後より良い予後を過ごすために、適切なフォローアップを行うことが必要であると考える。