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[II-PD02-03] 総肺静脈還流異常修復術後の肺静脈狭窄を伴う単心室における右心バイパス
【背景】右心バイパス手術において肺静脈狭窄の有無は重要な因子の1つである。総肺静脈還流異常(TAPVC)修復術を要する単心室では、術後肺静脈狭窄を来す症例は少なくなく、右心バイパス手術適応には慎重な判断が求められる。【目的】肺静脈狭窄合併例における右心バイパス手術適応の判断条件を明らかにする。【方法】2005年4月から2015年8月までに当院でTAPVC修復術を施行した単心室24例のうち、術後肺静脈狭窄を来した9例の経過を後方視的に検討した。【結果】24例の内訳は上心臓型10例、傍心臓型5例、下心臓型8例、混合型1例。TAPVC修復術は日齢2-5歳(中央値27日)で施行。術後肺静脈狭窄は9例に認め、上心臓型2例、傍心臓型3例、下心臓型4例。全例で外科的狭窄解除術が行われ、うち2例が術後早期死亡、1例(傍心臓型)が全枝で再狭窄を繰り返し2歳時点でGlenn未到達である。Glennまで到達は4例で、すべて狭窄解除とGlennを同時施行(うち2例はGlenn前にも狭窄解除術あり)。2例でGlenn後再狭窄を認め、1例(上心臓型)は術後2ヵ月で1枝閉塞も他は開存、1例(傍心臓型)は術後2ヵ月で片側2枝閉塞、残存2枝にも再狭窄を繰り返している。Fontan到達は2例で、1例(下心臓型)はGlenn時に狭窄解除、その後1枝閉塞したが2歳で開窓Fontan到達、1例(傍心臓型)はGlenn後に房室弁逆流の増悪と肺静脈狭窄を認め、房室弁形成と肺静脈狭窄の再解除と同時に開窓Fontan施行したが、腹水貯留で入退院を繰り返し、房室弁置換と複数回の肺静脈狭窄解除術を行っている。【まとめ】肺静脈狭窄を呈する場合でも積極的介入を行うことで、1枝病変例であれば右心バイパスは成立し得る。房室弁逆流難渋例、修復を要する傍心臓型例は特に複数枝での再狭窄リスクが高く、また右心バイパス術後早期に閉塞に至る可能性もあり、これらを念頭に手術適応を判断すべきである。