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[II-PD06-03] 小児期心疾患診断における学校心臓検診の役割 -心房中隔欠損と特発性肺動脈性肺高血圧について-
【背景】日本に特有のシステムである学校心臓検診(以下、本検診)の、小児期心疾患早期発見における役割は、国際的に明らかでない。心房中隔欠損(ASD)は、本検診で発見される主要な先天性心疾患であるが、小児期には通常無症状で、成人期に肺高血圧、心不全などを来す。また、特発性肺動脈性肺高血圧(IPAH)では、早期診断の重要性が認識される。本検診を契機に診断されるIPAH例があるが、本検診の診断治療に与える影響は明らかでない。【方法】1999年-2014年に当院にて、治療適応の検討を行った18歳以下のASD例と、日本小児循環器学会修練施設(150施設)において、2005年1月-2012年12月に診断した3か月-18歳の新規発症IPAH例を対象とし、受診動機、診断時と治療後の臨床血行動態指標、治療、予後を調査した。本検診を契機に診断された患者(検診群)と一般臨床所見により診断された患者(非検診群)を比較検討した。【結果】同期間、91名(男/女:44/47)にASDの診断で治療適応の検討を行った。非検診群は69名(76%)、内54名(78%)では心雑音を認めた。検診群は22名(24%)、内18例(82%)で右脚ブロックを認めた。診断時年齢は、非検診群の方が低く(p<.01)、6歳以上の患児では、92%が検診群であった。両群で平均肺動脈圧には差はなく(p=.57)、肺体血流比も同等であった(p=.15)。手術又はカテーテル治療は同様に施行されていた。(97% vs 100, p=1.0).
IPAH対象例87例中(年齢8.9歳;男/女:46/41)、本検診未施行である6歳未満19例(22%)を除いた68例で、検診群28名(32%)と非検診群40名(46%)で比較した。平均肺動脈圧、肺血管抵抗は、両群で同様に、上昇していたが、検診群では、診断時,WHO-FC I/IIが多く、BNP値は低く,6分間歩行距離は長かった(p<.05)。期間中の臨床的悪化(全死亡、肺移植、FC悪化、6MWDの減少、epoprostenol治療の開始)は検診群で少なかった(p<.05)。
【結論】学校心臓検診では、血行動態的に有意であるが、就学前に身体所見等から指摘を受けないASD、また、既に高度肺高血圧を認めるが、右心機能の保たれるIPAH例が発見され、早期治療、予後の改善に繋がる可能性が示唆された。
IPAH対象例87例中(年齢8.9歳;男/女:46/41)、本検診未施行である6歳未満19例(22%)を除いた68例で、検診群28名(32%)と非検診群40名(46%)で比較した。平均肺動脈圧、肺血管抵抗は、両群で同様に、上昇していたが、検診群では、診断時,WHO-FC I/IIが多く、BNP値は低く,6分間歩行距離は長かった(p<.05)。期間中の臨床的悪化(全死亡、肺移植、FC悪化、6MWDの減少、epoprostenol治療の開始)は検診群で少なかった(p<.05)。
【結論】学校心臓検診では、血行動態的に有意であるが、就学前に身体所見等から指摘を受けないASD、また、既に高度肺高血圧を認めるが、右心機能の保たれるIPAH例が発見され、早期治療、予後の改善に繋がる可能性が示唆された。