08:40 〜 09:20
[II-TOR01-01] PICUにおける鎮静スケールの適応年齢に関する検討 ―RASSは小児の全発達段階で使用可能か―
キーワード:PICU、鎮静、評価スケール
【背景】小児の集中ケア領域では鎮痛・鎮静・せん妄を総合的に評価・管理するガイドラインが示されていない。【目的】小児の発達段階別にRichmond Agitation- Sedation Scale(RASS)を用いた評価の有用性を検討した。【倫理的配慮】当院倫理委員会の承認を得た上で、調査対象者に目的、方法、任意性、プライバシー保護について文書で説明し、回答をもって承諾を得たものとした。【対象と方法】1)2015年11月1日から11月30日までの1ヶ月間にPICUに入室した心臓外科術後患者に対して看護師が勤務交代時に同一患者のRASS評価を個別に行い、新生児、乳児、幼児前期、幼児後期、学童の発達段階別に観察者間一致率(以下K値)を算出した。2)看護師にRASS評価の感想をアンケート調査した。【結果】1)調査期間中のPICU心臓外科術後患者は39名で、RASS評価数は142件、患者発達段階別のK値は、乳児0.57、幼児前期0.70、幼児後期0.63、学童0.62であった。深鎮静下や鎮静剤投与直後などの理由で評価しなかった例があった。2)アンケート回答率は62.1%であった。「鎮静レベルの客観的評価ができると思うか」の問いに72.2%が「どちらでもない」と回答した。自由記載では「刺激すると状態が悪化することがある」「言語で意思疎通ができる患者にはRASS評価が有効」などの意見があった。【考察】PICU入室中の心臓外科術後患者の十分な鎮痛鎮静は不可欠であり、客観的・経時的な評価が求められる。今回の調査で幼児期以降の小児患者でRASS評価の有用性が示唆された。しかし、発達段階にかかわらず、深鎮静下や鎮静剤投与直後の患者ではRASS評価が困難であることがわかった。心臓外科術後急性期は覚醒により循環動態が容易に変動するため、刺激反応性を評価するRASSの適用が容易でない側面も考えられた。