08:40 〜 09:30
[III-OR109-01] 単一心拍からの前負荷動員一回仕事量の推定(簡易版)
キーワード:心機能、負荷依存性、前負荷動員一回仕事量
【背景】心室の1回仕事量-拡張末期容積関係の傾きは前負荷動員一回仕事量 (PRSW)と呼ばれ、収縮末期エラスタンスよりさらに負荷依存性が低く、再現性も高い心収縮能の指標である。我々は圧距離ループにfittingを行うことでPRSWを単一心拍から求める方法を報告したが、今回さらに簡便にPRSWを予測する方法を考案したので、その予測精度について検討した。
【方法】14匹の成犬にセンサーを埋め込み、左心室圧距離関係の計測を行った。様々な負荷状態で下大静脈閉塞を行いPRSWを求めた。PRSWと平均駆出圧(一回仕事量(SW)/一回拍出距離(SD))の比をKとし、単一心拍から求められる血行動態パラメータとKの関係について多変量解析を行い、単一心拍からKを予測する式を作成した。K×平均駆出圧としてPRSWを推定し、実測値と比較し予測精度を検証した。
【結果】様々な負荷状態でのPRSWとKの変化範囲はそれぞれ25-146mmHg、0.26-1.0であった。単変量解析でKと有意な相関を認めたのは、心室収縮末期径、拡張末期径、最大心室圧、左室内径短縮率、最大微分左室圧、SD、SW、左室拡張末期圧であった。多変量解析では、左室内径短縮率(p<0.0001)、最大微分左室圧(p=0.001)、SW (p=0.04)が有意にKと相関していた。これらを用いて作成した予測式からもとめた予測PRSWと実測値は強い相関を認めた (r=0.90, p<0.0001)。左室内径短縮率と最大微分左室圧だけを用いた予測式でも同様に強い相関を認めた (r=0.88, p<0.0001)。また、左室内径短縮率>0.3または最大微分左室圧>4000mmHg/sの場合、Kは0.95±0.04で、PRSWは平均駆出圧とほぼ等しかった。
【考察】左室内径短縮率と最大微分左室圧は、心収縮力の指標としてよく用いられるが、これらを平均駆出圧と組み合わせる事によって、負荷依存性の低いPRSWを精度高く予測することができた。今後先天性心疾患の病態解明における簡便な方法論として非常に役立つ可能性が強く示唆された。
【方法】14匹の成犬にセンサーを埋め込み、左心室圧距離関係の計測を行った。様々な負荷状態で下大静脈閉塞を行いPRSWを求めた。PRSWと平均駆出圧(一回仕事量(SW)/一回拍出距離(SD))の比をKとし、単一心拍から求められる血行動態パラメータとKの関係について多変量解析を行い、単一心拍からKを予測する式を作成した。K×平均駆出圧としてPRSWを推定し、実測値と比較し予測精度を検証した。
【結果】様々な負荷状態でのPRSWとKの変化範囲はそれぞれ25-146mmHg、0.26-1.0であった。単変量解析でKと有意な相関を認めたのは、心室収縮末期径、拡張末期径、最大心室圧、左室内径短縮率、最大微分左室圧、SD、SW、左室拡張末期圧であった。多変量解析では、左室内径短縮率(p<0.0001)、最大微分左室圧(p=0.001)、SW (p=0.04)が有意にKと相関していた。これらを用いて作成した予測式からもとめた予測PRSWと実測値は強い相関を認めた (r=0.90, p<0.0001)。左室内径短縮率と最大微分左室圧だけを用いた予測式でも同様に強い相関を認めた (r=0.88, p<0.0001)。また、左室内径短縮率>0.3または最大微分左室圧>4000mmHg/sの場合、Kは0.95±0.04で、PRSWは平均駆出圧とほぼ等しかった。
【考察】左室内径短縮率と最大微分左室圧は、心収縮力の指標としてよく用いられるが、これらを平均駆出圧と組み合わせる事によって、負荷依存性の低いPRSWを精度高く予測することができた。今後先天性心疾患の病態解明における簡便な方法論として非常に役立つ可能性が強く示唆された。