一般口演1-09（III-OR109）
心臓血管機能1

[III-OR109-03] 層別ストレイン解析によるファロー四徴症の左室機能低下の発生機序の解明

^○山田 真梨子¹, 高橋 健¹, 小林 真紀¹, 大野 香奈¹, 重光 幸栄¹, 秋元 かつみ¹, 稀代 雅彦¹, 中西 啓介², 川崎 志保里², 板谷 慶一³, 清水 俊明¹ (1.順天堂大学医学部 小児科・思春期科, 2.順天堂大学 心臓血管外科, 3.京都府立医科大学 心臓血管外科)

キーワード：ファロー四徴症、層別ストレイン、スペックルトラッキング法

【背景】心内修復術後のファロー四徴症(TOF)において、左室機能低下は生命予後決定の重要な要素であるが、その発生機序は不明である。
【目的】TOFの左室の内層・外層strain及びその差であるstrain gradient(SG)を評価し、左室機能低下の発生機序を明らかにすること。
【方法】対象はTOF群40例及び正常対照(C群)67例。それらを20歳未満(YTOF群及びYC群)と20歳以上 (OTOF群及びOC群)に分類した。Vivid E9 (GE Healthcare, Milwaukee, WI, USA)を用い、傍胸骨短軸像の心基部、乳頭筋部、心尖部レベルの内層及び外層circumferential strain (CS)を、心尖部4腔面像より内層及び外層longitudinal strain (LS)を計測した。この研究は順天堂大学倫理委員会で承認されている。
【結果】CS：若年群 (YTOF群) は心基部では内層及び外層CSが正常群より低下し (p＜0.001)、乳頭筋部では内層CSとSGが正常群より低下していたが (p＜0.001及びp = 0.023)、心尖部ではCS及びSGは保たれていた。年長者群(OTOF群)は、心基部 ( p＜0.001及びp = 0.012) 及び乳頭筋部 (p＜0.001) では内層及び外層CSが正常群より低下し、心尖部では内層及び外層CS (p＜0.001) とSG (p = 0.001)が正常群より低下していた。
LS：若年群(YTOF群)及び年長者群(OTOF群)ともに、内層及び外層LSが正常群より低下していた (全てp＜0.001)。
【結論】Strainの低下が内層から外層に進行するなら、心基部では若年者で既に外層CSまで低下し、乳頭筋部では若年者で内層CSの低下が始まり、心尖部では年長者で内層CSの低下が進行していることを捉えている。これはTOFの継時的な心機能低下の新たな知見である。