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[III-OR116-04] 急性左心不全を呈した急性心筋炎の臨床像と中長期予後の検討
キーワード:急性心筋炎、心臓MRI、遅延造影
【背景】小児の急性心筋炎の臨床像は多様で, 急性期治療の効果や中長期予後の報告も限られている.【目的】急性心不全を呈した心筋炎の臨床像と中長期予後を明らかにする.【方法】1999年6月から2015年12月までに当院で急性心筋炎と診断され集中治療をうけた22例を対象とし診療録から後方視的に検討した.検討項目は, 年齢, 性, 集中治療室(ICU)入室期間, 入院期間, 急性期治療と検査所見に加え, 退院後の左室駆出率(LVEF), 治療内容, 心臓MRIを含めた臨床経過とした.【結果】発症年齢は中央値5歳(0歳11ヵ月-13歳).症状発現からICU入室までの期間は中央値4日.急性期治療はカテコラミン22例(100%), 人工呼吸管理17例(86%), ECMO 10例(45%), ステロイド4例(18%), 免疫グロブリン9例(40%)でICU入室期間は中央値8.5(1-30)日.ECMO例では1週間以内にLVEF 30%以上に回復した症例は全例離脱可能であった.完全房室ブロック合併は10例(45%)で9例が一時的pacingを行い8例(80%)が洞調律復帰.1例はペースメーカー留置, 1例は死亡.洞調律復帰に要した期間は中央値2(1-8)日.入院期間は中央値30(3-265)日で, 生存退院は19例(86%).内6例(32%)が退院時, 抗心不全治療を継続.経過観察期間は中央値50(2-176)ヵ月で遠隔期死亡なし.中長期経過後に心臓MRIを行った6例中3例でガドリニウム遅延造影(LGE)陽性. LGE陽性例は全例抗心不全治療を要しており内2例は心不全治療中止後にLVEFが悪化し治療再開で改善がみられた.【結語】ICU入室例の生存退院は86%で遠隔期死亡はなく比較的良好な予後であった.しかし後遺症例では長期経過の中で治療中止後に心機能が悪化する例があり注意を要する.