The 52st Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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パネルディスカッション

パネルディスカッション5(III-PD05)
日本小児循環器学会・心筋生検研究会joint session:小児心筋炎をめぐる基礎と臨床のクロストーク

Fri. Jul 8, 2016 8:40 AM - 10:10 AM 第A会場 (天空 A)

座長:
今中 恭子(三重大学大学院医学系研究科 修復再生病理学)
武田 充人(北海道大学 小児科)

III-PD05-01~III-PD05-04

8:40 AM - 10:10 AM

[III-PD05-02] ウイルス性心筋炎の病理

長谷川 秀樹 (国立感染症研究所 感染病理部)

心筋炎原因となるウイルスにはエンテロウイルス、サイトメガロウイルス、インフルエンザウイルス、などが挙げられている。病理学的に心筋組織にこれらのウイルスの局在が証明される例は少なく、これらのウイルスによる心筋炎の発症メカニズムには不明な点が多い。ウイルス性心筋炎は全身感染症の一部として心筋炎が見られる症例と心臓のみに発症する症例に区別できる。われわれはウイルス感染と心筋炎の関連を明らかにする目的で、原因不明の心筋炎の病理組織を対象にウイルス核酸を網羅的に検出するreal-time PCR法や次世代シークエンサーによる原因病原体の検出を試みた。これまでに72例の心筋炎症例を解析し、5例で原因ウイルスの同定が可能であった。同定されたウイルスは4例がエンテロウイルス系、1例はポリオーマウイルスであった。エンテロウイルスは多くの亜型が存在するが、心筋炎の原因となるものはエンテロウイルス71などのA群とコクサッキーウイルスB3などのB群が多い。本講演ではウイルス性心筋炎の病理組織学的な解析と、次世代シークエンサーの解析で、1例の心筋炎患者の病変部から検出された近年発見されたポリオーマウイルスの疫学についても述べる。