The 52st Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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パネルディスカッション

パネルディスカッション5(III-PD05)
日本小児循環器学会・心筋生検研究会joint session:小児心筋炎をめぐる基礎と臨床のクロストーク

Fri. Jul 8, 2016 8:40 AM - 10:10 AM 第A会場 (天空 A)

座長:
今中 恭子(三重大学大学院医学系研究科 修復再生病理学)
武田 充人(北海道大学 小児科)

III-PD05-01~III-PD05-04

8:40 AM - 10:10 AM

[III-PD05-03] 小児心筋炎の病理-成人との比較-

池田 善彦 (国立循環器病研究センタ- 臨床病理科)

小児における急性心筋炎では大部分がウイルス感染に伴うリンパ球性心筋炎であるが、中には特殊な病態も存在する。
好酸球性心内膜心筋炎後と思われる成人の心内膜心筋線維症では、器質化血栓と思われる両心室心内膜の高度な線維性肥厚と心内膜下の線維化が認められ、進行例では心内膜及び心筋内に好酸球浸潤をほとんど認めない。一方、拘束型心筋症様の血行動態を呈する小児の心内膜心筋生検組織或いは移植時レシピエント心において好酸球性心内膜心筋炎を稀に経験することから、このような病態では早期に診断し心内腔の閉塞といった病勢の進行及び塞栓症などの合併症の予防の観点から早期の治療介入が必要である。
また、成人では巨細胞性心筋炎を稀に経験するが、小児で認めることはほとんどない。しかしながら、10歳代後半では頻度が少ないながら存在し、病初期或いは検体が小さい場合には好酸球性心内膜心筋炎と誤診される場合も多いため注意を要する。巨細胞性心筋炎における検査所見及び治療内容を含めた臨床経過と組織像、特に近年炎症病態のマーカーとしても注目されているテネイシンC(4F10)、テネイシンC(4C8)との推移を比較しながら提示し、小児の好酸球性心内膜心筋炎におけるテネイシンCの発現についても、連続生検組織及び移植時レシピエント心で検討した結果について提示する。
当院では、好酸球性心内膜心筋炎や巨細胞性心筋炎では、ステロイド療法や免疫抑制剤などを併用した治療が奏功する例も数多く存在するため、急性心筋炎が疑われる例においては、積極的に凍結切片を用いた迅速診断を実施し、後に永久標本において確定診断を行っている。今回、それらの組織像についても提示し議論を深めたい。