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[JJS-03] ファロー四徴心内修復術の長期遠隔期成績と新たな右室流出路再建法の導入
我々は1956年に本邦初めてのファロー四徴(TF)心内修復を施行し最長50年以上の長期遠隔期経過観察を行うなかで、経肺動脈右房アプローチ(transPARA)などの術式の改良を行いその成績向上に取り組んできた。しかし、耐術したTFでは40年生存率が90%と良好である一方、PRに代表される弁膜症対策が長期遠隔期の喫急の課題であることが浮かび上がってきた。今回、TF手術成績とその長期遠隔期の問題点を検証しPRに対する治療戦略について検討した。【対象、結果】当院にてtransPARAにて心内修復を耐術したTF:153例において、その再手術回避率は20年で95%、30年で90%であった。その中で、弁輪温存による再手術回避率は、弁尖が2尖の場合にはTAP群と術後30年以上で有意差なく、30年以上の長期遠隔期では再手術を前提とした経過観察が重要であると示唆された。その中で、最近10年間でPVRを施行した症例中、PVR術前、術後1年、3.6年において心臓MRIを18例に施行。それぞれRVEDVIは199±43、109±30、116±34ml/m2とPVRにて縮小したRVが術後3.6年で有意に再拡張し、その再拡張率は右室自由壁心筋線維化率と有意に正の相関を示し、右室再拡張の原因の一つとして右室心筋線維化が関与する可能性が示唆された。従って、より早期の再手術が理想であると考えられるため、長期durabilityを考慮した人工弁導入にむけヨーロッパで臨床治験中の脱細胞化新鮮肺動脈弁(DPH)移植に注目、臨床研究にてドイツより提供を受けたDPH移植手術を現在2例に施行、その短期成績は良好であった。また、当院にて心臓移植レシピエントより摘出された肺動脈弁を脱細胞化した弁を用いた肺動脈弁置換も経験した。今後、その適応拡大に向け治験を計画中である。【まとめ】TF術後長期遠隔期において、右室心筋障害が進行しないうちにPVR等を計画することは右室機能保持の観点から重要な治療戦略の一つであり、さらに再々手術を回避可能な新たな材料の応用が急務である。