The 52st Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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JSPCCS-JCC Joint Session

JSPCCS-JCC Joint Session(JJS)
ファロー四徴症再手術

Fri. Jul 8, 2016 1:00 PM - 2:30 PM 第B会場 (天空 センター)

座長:
佐野 俊二(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 心臓血管外科)
丹羽 公一郎(聖路加国際病院 心血管センター 循環器内科)

JJS-01~JJS-04

1:00 PM - 2:30 PM

[JJS-04] ファロー四徵症の再手術としての右室流出路形成術ないし肺動脈弁置換術の適応と実際

笠原 真悟 (岡山大学大学院 医歯薬学総合研究科)

(はじめに)
右室流出路再建手術(re-RVOTR)においては海外ではHomograftの使用が一般的であり、成人例での使用においては小児例と比較し、石灰化の問題も少なく遠隔成績は良好である。しかしながら本邦ではHomograftの入手がかなり制限されており、さまざまな素材、方法が試みられているものの、その長期成績においてはいまだ一定の見解が得られていない。
(右室流出路再建再手術のタイミング)
さまざまな基準値がそれぞれの論文で取り上げられているが、共通した見解は、時期によっては肺動脈弁逆流が重度であることと右室拡大はparallelではなく、症状が出現する右室拡大の程度を推定し、不可逆性の変化にならない右室拡大を数値として表わすということである。つまり再手術のタイミングは症状の出現と、不可逆性にならない右室拡大ということになる。まとめると以下のようになる。
1. 症状(必要に応じて運動負荷テスト)
2. Cardiac MRIで25~35%以上の肺動脈弁逆流と以下の可逆性右室拡大所見
(ア) Cardiac MRI:
① RV end-diastolic volume index≧150~160ml/m2(170以上で不可逆性)
② RV end-systolic volume index≧70 ml/m2
③ RV/LV end-diastolic ratio≧1.5~2.0
(イ) ECG:
① QRS duration≧180 ms
右室機能や不整脈の観点からも早期のRe-RVOTは重要と考えられるが、multiple surgeryを防ぐためには長期にFunctionする弁の選択が重要である。しかしながらこのような弁の選択は現在のところ難しく、特に本邦では困難である。以上のことから、Re-RVOTのタイミングの困難性や長期機能弁の不存在からRe-RVOTをしない術式の選択が重要であるように考える。本邦でのファロー四徴症に対する根治術は歴史的にconotruncal repairが浸透し、欧米に比べ右室切開の基準の確定や一弁付パッチの使用で右心不全症例が少ないという独自の経緯があることも事実である。
(将来の展望)
Re-RVOTRを予防する術式の選択は重要である。しかしながら、自己弁を残せない場合にはPTFE製の一弁付パッチもしくは3弁付conduitによるRVOTRを選択し、肺動脈弁逆流出現の際にはタイミングを計り、カテーテルを用いた肺動脈弁挿入術の選択が望ましい。