18:00 〜 19:00
[P02-04] 気道感染症後に遷延する低酸素血症を契機に診断された左上大静脈遺残左房開口の1歳女児
キーワード:左上大静脈遺残、右左短絡、低酸素血症
【はじめに】左上大静脈遺残(PLSVC)左房開口はPLSVC(一般剖検中0.4%とされる)のうち4%程度に認められることがある非常に稀な血管奇形である。【症例】20か月女児。生来健康で、成長発達正常。出生歴、既往歴、家族歴に特記すべきことなし。13か月時に突発性発疹にともなう複雑型熱性けいれん、16か月時に仮性クループで入院した。いずれの入院時も呼吸症状改善後も、SpO2 90%程度と低値が遷延した。外来経過観察中も、平時SpO2は93%程度で、感冒時や活動後に度々SpO2≦90%となった。また入眠と共にSpO2が上昇し、覚醒、活動によってSpO2が低下する傾向があった。心電図は正常範囲内、心エコー検査でも心内奇形は検出できなかった。その後も低酸素血症が続くため20か月時に造影CT検査を実施した。その結果、左房に直接還流する左上大静脈遺残を認め、無名静脈は認められなかった。その他の心血管内臓奇形は同定されなかった。【考察】PLSVC左房開口は非常に稀な血管異常で、小児期に診断される例は更に稀である。他に合併奇形がなければ軽度の低酸素症以外に兆候は認められず無症状であるが、若年での脳膿瘍や脳梗塞の反復をきっかけに診断される報告も散見され、早期診断と治療介入が必要な疾患でもある。小児期に易疲労性、中心性チアノーゼを呈しカテーテル閉鎖や外科的根治術が行われた報告もあり、低酸素は1歳程度で顕在化し進行すると報告されている。本例は現在のところ無症状であるが、将来的には治療が必要で、低酸素の進行や易疲労性が認められれば早期の治療介入が必要と考えられる。