第52回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

胎児心臓病学1

ポスターセッション(P05)
胎児心臓病学1

2016年7月7日(木) 18:00 〜 19:00 ポスター会場 (天空 ノース)

座長:
渋谷 和彦(東京都立小児総合医療センター 循環器科)

P05-01~P05-05

18:00 〜 19:00

[P05-04] ハイリスク新生児における臍帯静脈アプローチによるバルーン心房中隔裂開術(BAS)およびstatic BAS

高橋 実穂1, 加藤 愛章1, 野崎 良寛1, 林 立申1, 中村 昭宏1, 堀米 仁志1,2 (1.筑波大学小児科, 2.茨城県小児地域医療教育ステーション)

キーワード:BAS、臍帯静脈、ハイリスク新生児

【はじめに】低出生体重児や胎児水腫を伴うハイリスク新生児に対するバルーン心房中隔裂開術(BAS)はアクセスルートや確保時間に苦労する症例が存在する。臍帯静脈アプローチも迷入や感染に注意が必要である。臍帯静脈経由(UV)例と大腿静脈経由(FV)例を比較して検討する。【方法】2011年1月~2015年12月に新生児期にBASあるいはstatic BASを施行した16例(UV3例、FV13例)を対象とし、有効性および副作用について後方視的に検討した。推定体重や胎児心エコー所見から、可及的にBASの必要性が高い症例をUV例にした。【結果】臍帯を長めに残し、出生当日に臍帯静脈カテーテル(Arrow4 Fr)を留置し静脈管の内腔を保持する。全身麻酔下で0.018inchガイドワイヤーを挿入し、4Frシースにいれかえて(4Frウェッジカテーテルをcoaxialにする)診断カテ後に、6Fr ダイレーターを通し、最終的に7Frシースを留置し5FrのForgatyカテーテルでBASを施行した。static BAS1例では肥厚した心房中隔を有した3mmの卵円孔に対し5Fシースの留置で9mmバルーンで拡張した。疾患内訳はFVではTGA(7)、HLHSおよび類縁(3)、単心室+一側房室弁閉鎖(2)、PA-IVS(1)で、UVではHLHS(2)、critical AS+MR+hydrops(1)であった。平均在胎週数および出生体重はFVで38週(37~39)、2,919±340g、UVで34週(30~37)、2,141±427gで、BAS施行日齢の中央値はFVで3(1~15)、UVで2(1~3)であった。 全例BAS遂行可能で、とくにUV2例では心房間圧較差は16→2、14→4mmHgへ低下し、UV1例ではPaO2=30→40mmHgへ上昇し胎児水腫が劇的に改善した。血管損傷、門脈枝への迷入や感染などはなかった。【考察】極・超低出生体重児でも大腿静脈経由をとっている報告もあり、臍静脈経由でのカテーテルの選択や方法は様々である。【結語】ハイリスク新生児のBASに対する臍帯静脈アプローチは有用であるが、胎児診断に基づいて対象を選択し手技の工夫をすることが重要である。