18:00 〜 19:00
[P08-04] 胎児完全大血管転位症におけるカラードプラ超音波を用いた冠動脈走行評価
キーワード:完全大血管転位症、冠動脈、胎児
完全大血管転位症(TGA)では動脈スイッチ手術(ASO)が行われることが多い、ASOに際しては冠動脈走行が重要で、走行異常は術式や予後に影響を与えることがある。出生前から冠動脈走行がわかれば、ASOの手術計画をたてる時間的余裕ができ、また妊娠中の家族への説明がより正確になることなどが期待できる。今回胎児TGA3例において、カラードプラを用いて冠動脈走行の評価を行ったので報告する。
【結果】冠動脈の描出は1例の左回旋枝(LCX)を除いて、すべての冠動脈で可能であった。一方で生後のShaher分類(S分類)と完全に一致したのは1例であった。
(症例1)TGA I 型 妊娠19週に紹介されTGAと診断。左前下行枝(LAD)は大動脈の左前面から、右冠動脈(RCA)は大動脈の右から起始していた。しかしながらLCXは描出できず、S分類は1もしくは2Aの疑いとなった。出生後S分類 1と診断された。
(症例2)TGA I 型 28週に紹介されTGAと診断。1本の冠動脈が大動脈後面から起始してRCAとLCXに分岐していた、分岐したLCXは肺動脈の後方を走行していた。一方LADは大動脈前面から起始しているように見えたためS分類 2Aと判断した。しかしながら出生後、単冠動脈であり、S分類 3Bと診断された。 LADの起始部は大動脈ではなく、単冠動脈から分岐した左冠動脈であった。
(症例3)TGA II 型 28週に紹介されTGAと診断。左冠動脈が大動脈の左前面から起始して、その後LADとLCXに分かれていた。LCXは肺動脈の前方を走行していた。一方RCAは大動脈の右後面から起始しておりS分類 1と判断した。出生後、S分類 1であることが確認された。
【結論】TGAにおいて、胎児期にもカラードプラを用いることで冠動脈の描出・走行の評価は可能であった。しかしながら起始部の同定は難しく、正確なS分類は困難であった。今後症例を積むことで、さらなる精度の向上が必要である。
【結果】冠動脈の描出は1例の左回旋枝(LCX)を除いて、すべての冠動脈で可能であった。一方で生後のShaher分類(S分類)と完全に一致したのは1例であった。
(症例1)TGA I 型 妊娠19週に紹介されTGAと診断。左前下行枝(LAD)は大動脈の左前面から、右冠動脈(RCA)は大動脈の右から起始していた。しかしながらLCXは描出できず、S分類は1もしくは2Aの疑いとなった。出生後S分類 1と診断された。
(症例2)TGA I 型 28週に紹介されTGAと診断。1本の冠動脈が大動脈後面から起始してRCAとLCXに分岐していた、分岐したLCXは肺動脈の後方を走行していた。一方LADは大動脈前面から起始しているように見えたためS分類 2Aと判断した。しかしながら出生後、単冠動脈であり、S分類 3Bと診断された。 LADの起始部は大動脈ではなく、単冠動脈から分岐した左冠動脈であった。
(症例3)TGA II 型 28週に紹介されTGAと診断。左冠動脈が大動脈の左前面から起始して、その後LADとLCXに分かれていた。LCXは肺動脈の前方を走行していた。一方RCAは大動脈の右後面から起始しておりS分類 1と判断した。出生後、S分類 1であることが確認された。
【結論】TGAにおいて、胎児期にもカラードプラを用いることで冠動脈の描出・走行の評価は可能であった。しかしながら起始部の同定は難しく、正確なS分類は困難であった。今後症例を積むことで、さらなる精度の向上が必要である。