The 52st Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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ポスターセッション

複雑心奇形2

ポスターセッション(P10)
複雑心奇形2

Fri. Jul 8, 2016 1:50 PM - 2:40 PM ポスター会場 (天空 ノース)

座長:
鈴木 博(新潟大学医歯学総合病院魚沼地域医療教育センター・魚沼基幹病院 小児科)

P10-01~P10-05

1:50 PM - 2:40 PM

[P10-01] 主肺動脈拡張による左肺動脈狭窄により急性右心不全を発症した心房中隔欠損症(ASD)の1例

飯田 千晶1, 田代 克弥1, 倉岡 彩子2 (1.佐賀大学医学部 小児科, 2.福岡市立こども病院)

Keywords:心房中隔欠損症、急性右心不全、肺動脈狭窄

【症例】4か月男児。胎児期より大動脈縮窄(CoA)が疑われ管理目的に当院紹介となり、在胎38週3日、2054gで仮死なく出生した。出生後、Large ASD及びmild CoAと診断した。CoAに対しては無治療で観察可能であったが、CoAでは説明できない多呼吸や頻脈、うっ血所見を認めた。ASDの影響を疑い利尿剤を開始し退院、その後は二次病院で管理されていた。4か月時に感冒を契機に、陥没呼吸、頻呼吸が出現し前医に入院した。胸部レントゲン上、右肺優位に透過性低下を認め気管支炎と診断された。入院後、咳嗽・啼泣を契機にSpO2低下、pCO2の貯留を呈し、当院へ転院となった。心エコー上、右室の拡大、推定右室圧50mmHg程度と右室圧上昇を認め急性右心不全が疑われた。鎮静下に人工呼吸管理とし、抗心不全加療を開始したが右室圧は高値が持続し、肺血管拡張薬の内服を開始した。その後緩やかに心不全は改善したが、肺野透過性の左右差は持続し右室圧は高値であった。全身状態が安定した後に心臓カテーテル検査を施行。主肺動脈圧27/9、右肺動脈圧23/5、左肺動脈圧13/5mmHgと明らかな左右差を認めたが、肺血管の描出には有意な左右差は見られなかった。一方、Qp/Qsは2.8と著明な高値を呈していた。胸部CTではMPAは著しく拡張していたが、肺野透過性の左右差を説明できる所見は得られなかった。入院45日目に退院とし、ASD閉鎖目的に外科施設に紹介した。生後6か月時点でASD閉鎖術を施行。術中所見で、拡張したMPAがLPAを圧迫し、著明な狭窄を呈していたことが判明した。LPA形成まで施行され、術後経過は良好。【考察】ASDは比較的shunt量が多くても、症状を呈するのは成人以降であることが多く、小児早期に治療を要することは稀である。本例では新生児早期より治療介入を要し、その病態把握に苦慮した。本例のように非典型的な経過をたどる場合には早期に外科加療を要する可能性もあり、注意深い観察と積極的な精査が必要考えられる。