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[P10-03] 動脈管、主要体肺側副動脈の両者を伴わない肺動脈閉鎖兼心室中隔欠損症、22q.11.2欠失の2例
キーワード:肺動脈閉鎖兼心室中隔欠損症、22q11.2欠失、主要体肺側副動脈
【背景】肺動脈閉鎖兼心室中隔欠損症(pulmonary atresia with ventricular septal defect, PAVSD)は動脈管や主要体肺側副動脈(major aortopulmonary collateral artery, MAPCA)により肺血流が供給される。動脈管とMAPCAの両者を伴わないPAVSD、22q11.2欠失の2例を経験した。【症例1】在胎38週、2,534gで出生し、チアノーゼのため生後80分で入院した。入院時SpO2は73%で、心エコーでPAVSDと診断され、主肺動脈は径4mmで肺動脈内血流や動脈管を認めなかった。人工呼吸管理、Lipo-PGE1持続静注療法やNO吸入療法に反応せず、日齢8から肺静脈うっ血が進行し日齢29に死亡した。剖検で動脈管索やMAPCAを認めず、肺内肺静脈に血栓や線維性組織による内膜狭窄や閉塞を認めた。【症例2】在胎40週、3,715gで出生し、チアノーゼのため生後110分で入院した。入院時SpO2は66%で、心エコーでPAVSDと診断され、主肺動脈は径2mmで肺動脈内血流や動脈管を認めなかった。人工呼吸管理、Lipo-PGE1持続静注療法やNO吸入療法に反応しなかったが、生後12時間頃より徐々にSpO2が上昇し数日後に80%となり、日齢24にsystemic pulmonary shunt(右総頚動脈主肺動脈吻合術)を施行された。造影CT(日齢9)と術中所見で動脈管(索)やMAPCAを認めなかった。2例とも22q11.2欠失と診断された。【他のPAVSDとの比較】本2症例と過去5年間に当院に入院した動脈管またはMAPCAを伴うPAVSD 11例を比較検討した。本2症例は入院時SpO2(%)が低値(69.5±5.0:86.4±7.4, p=0.01)で、三尖弁輪径(mm)/僧帽弁輪径(mm)が高値(1.50±0.27:1.14±0.16, p=0.02)であり、重度の肺血流減少が示唆された。新生児期から動脈管索が存在せず胎児期の動脈管閉鎖や、低肺血流による血栓性肺静脈閉塞が推察された。【結語】生後早期の重症チアノーゼを呈するPAVSDでは動脈管とMAPCAを伴わない病態を考慮し、可能であれば肺静脈閉塞発症前の短絡手術が必要である。