第52回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

複雑心奇形2

ポスターセッション(P10)
複雑心奇形2

2016年7月8日(金) 13:50 〜 14:40 ポスター会場 (天空 ノース)

座長:
鈴木 博(新潟大学医歯学総合病院魚沼地域医療教育センター・魚沼基幹病院 小児科)

P10-01~P10-05

13:50 〜 14:40

[P10-04] 肺静脈還流異常を合併した円錐動脈幹異常について

有馬 慶太郎1, 吉原 尚子1, 土屋 恵司1, 今田 義夫1, 小林 城太郎2 (1.日本赤十字社医療センター 小児科, 2.日本赤十字社医療センター 心臓血管外科)

キーワード:円錐動脈幹異常、肺静脈還流異常、二次心臓領域

【背景】円錐動脈幹の発生異常に起因する流出路異常は先天性心疾患において約3割を占める。心臓流出路異常の発生機序として円錐動脈幹中隔を形成する神経堤細胞だけでなく、咽頭弓中胚葉に由来する二次心臓領域の関与が明らかになっている。最近、肺血管形成にも二次心臓領域の関与が言われているが、肺静脈還流異常(APVR)を合併した円錐動脈幹異常を経験することは少ない。【目的】APVRを合併した円錐動脈幹異常症例の調査、検討【方法】対象は2006年1月から2015年10月までの期間に当院で診断、治療を行った円錐動脈幹異常症例で、APVR合併の有無と臨床像、予後などを診療録から後方視的に検討した。心房内臓錯位、房室中隔欠損合併例は除外した。【結果】円錐動脈幹異常症例は142例あり、うち3例でTAPVR、3例でPAPVRを合併していた。APVRについて胎児診断例はなく、PAPVR合併例は術前後の心臓カテーテル検査時に診断されていた。下心臓型TAPVR合併のファロー四徴例はTAPVR修復術時に死亡していた。2/4系統のPAPVRに関しては修復を実施し1/4系統の場合は介入していなかった。6例中、同胞再発の家系はなかった。【考察】円錐動脈幹(流出路)と心房、肺静脈(流入路)は、起源は同じ二次心臓領域にあるものの、その前駆細胞からの分化や増殖、移動は異なる制御系のため、両者の合併は稀であると思われた。しなしながら、同胞再発家系の報告もあり、共通する部分もあるのかもしれない。臨床的にはTAPVR合併の場合は高度のチアノーゼや肺高血圧を合併していることが多く、修復/姑息術の適切な選択が必要である。【結論】円錐動脈幹異常にAPVRを合併することは稀である。PAPVR合併についてはCTやカテーテル検査などで診断されることが多く、TAPVR合併ではより重症度が高いため適切な対応を要する。