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[P12-08] Tracking of tricuspid annular displacementを用いた右室収縮能評価:三次元超音波との比較検討
キーワード:心臓超音波、右室機能、先天性心疾患
【背景】心臓超音波による右室機能評価はその形態の複雑さから困難であることが多い。先天性心疾患においては、右室形態がさらに複雑であることから機能評価について一定の見解がなく、超音波の入射が不良である症例も多い。Speckle Tracking法を用いたtricuspid annular displacement (TAD)は、三尖弁輪-心尖間における輝点の移動距離を計測し、右室長軸方向の収縮能を評価することができる。Speckle Tracking法を用いるためその原理上角度依存性がなく、輝点の設定が簡便なことから再現性が高い検査であり、不良な画質においても計測可能と考えられている。今回TADを用いて小児先天性心疾患患者の右室長軸方向の収縮能を測定し、3D echocardiographyで得られた右室容積・収縮能との比較検討を行った。【方法】症例は複雑型心奇形を含む先天性心疾患患者15名。予定心臓カテーテル検査当日に心臓超音波を施行し、画像を収集した。超音波診断機材はPhilips社製IE 33、プローベはS5またはS8及びx7-2プローベを使用した。解析には同社製Qlab 10.1 softwareを使用した。仰臥位にて心臓超音波を施行。心尖四腔像を描出し、三尖弁輪中隔側、自由壁側及び右室心尖部の3点に輝点を設定しTADを解析した。TADで得られたmidpoint displacementと3D echocardiographyによって得られたRVEFを比較した。【結果】TADより得られたmidpoint displacementの平均値は21.7%(SD±5.11)であり、3D echocardiographyにより得られたRVEF(平均46.8%、SD±13.0)と有意な相関を得た(R=0.72、P<0.01)。開心術後症例や複雑型心奇形による画像精度の低下が散見されたが、全例でTAD解析が可能であった。【結語】TADより算出した右室長軸方向収縮能は心臓カテーテル法にて得られたRVEFと有意な相関が得られた。検査手技が簡便で角度依存性を持たない本法は、形態的に複雑な先天性心疾患における右室収縮能の測定に有用である。