18:00 〜 19:00
[P17-03] 肺血管床評価のためのパイロット研究
キーワード:肺血管床、予後、輝度解析
【背景】肺血管床の発達は様々な先天性心疾患において予後因子とされる。しかし、その直接的な評価法は定まっていない。今回直接的評価のためのパイロット研究を試みた。【方法】我々は肺毛細血管の状態は肺血管造影のcapillary phase中の階調値に反映されると仮定した。肺野末梢と肺動脈基部に関心領域を設定、輝度解析を施行。肺野末梢での階調値の最高値と最低値の差をGp、肺動脈基部での差をGrとし、階調値は背景値で補正した。輝度解析はImageJ(Version 1.50e, National Institute of Mental Health, Bethesda, Maryland, USA)にて施行した。先天性心疾患以外として川崎病(MCLS)でGp/Grを算出。血行動態、造影条件の影響を観察するため、心房中隔欠損症(ASD)では右室造影と肺動脈造影から算出したGp/Grを比較した。次に肺毛細血管に乏しいと考えられる肺動静脈瘻にて階調値の定常状態が見られるかを観察した。最後に主要体肺側副血管(MAPCA)の経過良好群と経過不良群のGp/Grの比較を行った。データは平均±SDで表記し、p<0.05を統計学的有意とした。【結果】MCLS(n = 6)のGp/Grは0.33 ± 0.02。ASD(n = 21)では右室造影と肺動脈造影から求めたGp/Grに差を認めなかった(0.32 ± 0.03 vs. 0.32 ± 0.03, p = 0.92)。肺動静脈瘻(n = 1)では、その他の症例と異なり、階調値に定常状態を認めなかった。MAPCA(n = 8)では経過良好群と経過不良群でGp/Grに有意差を認めた(0.33 ± 0.01 vs. 0.24 ± 0.06, p = 0.02)。【結論】階調値に定常状態が見られることは肺毛細血管の存在を反映しているものと考えられた。血管造影におけるcapillary phaseから算出されるGp/Grは造影条件、血行動態条件に左右されず肺血管床を反映するものと考えられた。