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[P20-02] Fontan術前の体肺動脈側副血管に対する治療戦略;小児心臓外科医とのコラボレーション
キーワード:Fontan、体肺動脈側副血管、コイル塞栓術
(緒言)Fontan術前の体肺動脈側副血管(APCA)に対するコイル塞栓術は術後胸水の軽減に有効であるとの報告を多く認める一方、多数のコイルは査定の対象となり、医療経済的な観点から治療への制限的要因も多い。今回演者らはFontan術前のAPCAに対する治療戦略として心臓外科医と協議し、コイル数が最も多くなると予測される両側内胸動脈に対してFontan手術時に外科的結紮術を施行、結紮術の困難なAPCAにはコイル塞栓術を行った症例を経験したので報告する。(症例)3歳2か月の男児。無脾症、右側相同、右室型単心室、共通房室弁口、両大血管右室起始、大血管位置異常、肺動脈閉鎖、総肺静脈還流異常(心臓型)、両方向性グレン術後。術前の検査データはSaO2 :91%、 SVC:9mmHg、mean PAP:9mmHg、PA wedge:10mmHg、Rp 0.24U/m2、PA index174.5。カテーテル検査、治療には心臓外科医も参加、コイル数は20個を上限と考えすべて水圧式離脱型のTRUFILL DCS ORBIT(GALAX コイル)を使用した。左右鎖骨下動脈造影施行、右鎖骨下動脈造影遅延相で肺静脈、心房ともに明瞭に造影された。右外側胸動脈(径:0.9mm)、胸骨峰動脈(径:0.8mm)造影遅延相での肺静脈、心房造影が最も明瞭であり、計10本で完全閉鎖。右甲状頸動脈側枝(径:0.9mm)に対して4本、左甲状頸動脈側枝(径:0.9mm)に対して7本で塞栓術を終了した(計21本;2mm ×2cm:2本、2mm×3cm:5本、2mm×4cm:3本、2mm×6cm:4本、2mm×8cm:7本)。手技時間は119分、保険請求点数342,133、手術点数293,081で査定の対象とならなかった。その後行ったFontan手術時に左右内胸動脈は結紮した。胸腔ドレナージ留置期間は12日であり経過は良好であった。(結果と考察)Fontan術前のAPCAに対するコイル塞栓術において外科的結紮術を含めた治療戦略に問題はなかった。GALAXYコイル以外の新しいデバイスの使用でさらに医療費削減と被ばく時間の短縮が期待できると思われる。