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[P23-01] 保育園に持参していたAEDで救命されたQT延長症候群の幼児例
Keywords:AED、QT延長症候群、突然死
【緒言】突然死を予防するために、AEDが普及してきており、すべての小学校・中学校・高校に設置されている。しかし、幼稚園・保育園においては配備が十分でないのが現状である。幼稚園において、家族が持参していた個人のAEDを使用し保育士のバイスタンダーにより救命された症例を経験したので報告する。【症例】患児は5歳3ヵ月の男児。疾患に関係する家族歴はなし。1歳時に膜様部心室中隔欠損に対する心内修復術を施行され、良好に経過していた。1歳時に、失神を契機に、遺伝子解析を施行しLQT 3 (SCN5A mutation)と診断され、メキシレチンの内服治療を2015年11月15日に開始した。同年11月28日の午前中、保育園で安静覚醒時に、突然心肺停止に陥った。ただちに、保育士による心肺蘇生が開始され、家族が持参していたAEDにより、発症後1分で除細動された。救急搬送されたが、病院到着時には意識は清明であり、後遺症なく回復した。2回目のエピソードであり、ICD植込みを検討したが、幼小であるため、ペースメーカー植込みと内服治療により経過観察する方針とし、AAIで、最小心拍数を90回/分とやや早めに設定し、メキシレチンおよびベラパミルの併用療法を開始した。。将来的に治療法の見直しは必要であるが、良好に経過している。【考察および結語】LQT3は睡眠時・安静時に発作が誘発される特徴を持ち、予防が困難である。ICD植え込みは効果的治療法であるが、問題点も多い。小児期のLQT3に対しては、徐脈誘発を避けるべく心房ペーシングが有効な可能性があり選択肢のひとつである。また、保育園・幼稚園をはじめとする幼児期の突然死も一定の頻度で認められている。学校救急体制は、AEDの設置とともに充実がはかられているが、保育園・幼稚園ではAEDを設置していない施設も多くその救急体制は不十分であり今後の課題である。