The 52st Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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ポスターセッション

電気生理学・不整脈2

ポスターセッション(P23)
電気生理学・不整脈2

Thu. Jul 7, 2016 6:00 PM - 7:00 PM ポスター会場 (天空 ノース)

座長:
鈴木 博(新潟大学医歯学総合病院魚沼地域医療教育センター・魚沼基幹病院 小児科)

P23-01~P23-05

6:00 PM - 7:00 PM

[P23-02] 失神発作の鑑別に植込型心電図ループレコーダーが有効であったQT延長症候群の1例

大塚 雅和1,2, 本村 秀樹1,3, 桑原 義典1,3, 横川 真理1, 中垣 麻里1, 蓮把 朋之1, 森内 浩幸1 (1.長崎大学病院 小児科, 2.佐世保市立総合病院, 3.長崎医療センター)

Keywords:植込型心電図ループレコーダー、QT延長症候群、Torsades de pointes

不整脈による失神の有無は生死にかかわるため、治療方針に大きく影響する。しかし、発作時心電図の記録がない時には、本当に不整脈によるものなのか、判断に迷うこともある。今回、失神発作を繰り返すQT延長症候群(I型)の男児に長時間記録ホルター心電図(HL)、植込型心電図ループレコーダー(LP)を行った。HL装着時には失神は起こらず、LPにより失神発作を捉えることができた。LPには外科的処置が必要であるが、小児でも失神の鑑別に有効であると思われたので報告する。症例は12才男児。小学校1年生の学校健診でQT延長を指摘され、当院受診となった。9才時サッカーをしていた時に初回失神発作を起こし、エピネフリン負荷試験陽性であり、遺伝子検査にてI型(ex6 c.1032 G>A p.A344A splicing variant)と診断した。βブロッカーを内服し運動制限を行っていたが、心電図記録がない失神発作を繰り返した。一方でβブロッカーの製剤変更や増量に伴い、朝起きられない、ふらつくなどの自律神経障害症状も強くなった。また、失神時に外傷を認めないなど心原性失神として典型的ではない所見もあった。そのため、失神時の心電図を確認する方針とした。まず、HLを装着し、2週間のモニタリングを2回施行したが失神は捉えられなかった。その後LPを使用した。LP植え込み5か月後に失神発作があり、解析ではTorsades de pointes(TdP)の記録はなかったため、不整脈発作ではなく神経性失神と判断された。しかし、今後TdPが発生する可能性はあるので検査継続中である。HLは低侵襲で繰り返し検査できるが、LPに比べて記録時間が短いことが欠点である。LPは植え込みと取り出しに2回の外科的処置が必要になるが、携帯電話による遠隔通信機能で自覚症状を伴わない不整脈のチェックも可能となる。イベント時の心電図記録は治療方針に大きく関わるので、失神の頻度によりHLとLPを使い分けていくことでより正確な診断に役立つと思われる。