The 52st Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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ポスターセッション

電気生理学・不整脈5

ポスターセッション(P26)
電気生理学・不整脈5

Fri. Jul 8, 2016 1:50 PM - 2:40 PM ポスター会場 (天空 ノース)

座長:
豊原 啓子(東京女子医科大学心臓病センター 循環器小児科)

P26-01~P26-06

1:50 PM - 2:40 PM

[P26-01] 複数副伝導路に対しカテーテルアブレーションを行った肥大型心筋症の一例

金子 正英1, 浦田 晋1, 真船 亮1, 林 泰佑1, 三崎 泰志1, 小野 博1, 賀藤 均1, 萩原 教文2 (1.国立成育医療研究センター 循環器科, 2.帝京大学医学部附属病院 小児科)

Keywords:肥大型心筋症、副伝導路、カテーテルアブレーション

【はじめに】 肥大型心筋症にWPW症候群を合併することがある。また、副伝導路により心機能を低下する例も報告されている。今回我々は、複数本の副伝導路をもつ肥大型心筋症に対し、不整脈の予防と心収縮様式の改善目的にカテーテルアブレーション(CA)を施行した一例を経験したので報告する。
【症例】4歳男児。4か月時に心雑音、体重増加不良の精査目的で入院した。心エコー検査では、心筋肥大とともに心駆出率30%前後の心収縮力低下を認め、心拡大をともなう肥大型心筋症と診断した。入院中、発作性上室性頻拍を認め、アミオダロンを開始した。その後上室性頻拍は認めなかったが、心収縮不良とともに心室中隔心基部の奇異性運動を伴っていたため、2歳時に CAを行った。右側副伝導路と考えCAを行ったところ、右側に3本の副伝導路を認めた。すべて焼灼後にもデルタ波は残存し、冠静脈洞に挿入した電極カテーテルから、左副伝導路の存在が判明した。9か月後に2回目のCAを施行した。ブロッケンブロー手技にて、左側副伝導路の焼灼を施行した。左側には2本の副伝導路を認めた。CA終了後、デルタ波は消失し、心室中隔の収縮様式は改善した。しかし、CA2日後の心電図ではデルタ波が回復し、心収縮様式も再度悪化した。3度目のCAも計画していたが、外来経過観察中に徐々にデルタ波が消失している頻度が増え、術後2年たつ現在ではデルタ波はほぼ消失しており、心室中隔基部の奇異性運動も改善した。
【結語】 小児WPW症候群では、時に複数本の副伝導路を認めることがあるが、今回我々は、左右に5本の副伝導路が存在する肥大型心筋症の稀な一例を経験した。心室中隔の奇異性運動を認めたが、デルタ波消失とともに心収縮は改善しており、不整脈の治療のみでなく、心機能を改善、維持するためにもCA治療は有効であった。