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[P26-06] 運動後心肺停止を来しAED記録が参考となり迷走神経過緊張に伴う房室ブロック・洞機能抑制と診断できた14歳男子例
Keywords:房室ブロック、洞停止、迷走神経過緊張
【背景】小児で運動中に失神・心停止を来す事例は少なからず認められるが、今回、AED記録の解析が診断につながり、心肺停止既往のため、ペースメーカー留置を要した発作性房室ブロック・洞不全症例を経験した。【症例】元来健康でバスケットボール部に所属する14歳男子。長距離走のゴール直後に全身性強直けいれんを来し、心肺停止した。蘇生後、当院へ搬送されたが、蘇生後脳症には至らず、一過性の短期記憶障害のみを認めた。40~50/分の徐脈が持続したが、安静時心電図に異常はなく心臓エコー・心臓CT検査などから器質的異常は除外された。心肺蘇生時にAEDが装着されたが除細動が不要と判断され、AEDの心電図記録では補充調律が抑制された一過性の完全房室ブロックであった。ホルター心電図を装着中、点滴ライン確保を行った時に失神を来し、約10秒間の洞停止(SA)の記録から血管迷走神経反射が原因と考えられた。EPSでは、房室伝導・洞機能は抑制され、薬理的除神経によるそれらの正常化から刺激伝導系に器質的異常が無く、迷走神経過緊張によるSA, AV node dysfunctionと診断した。若年であること、long pause時のバックアップの確保で良いと判断しVVIペースメーカーを留置した。経過は良好で、自己心拍40/分以下でペースが入る設定としたが、自己心拍は50~60/分の洞調律で、ペーシングなく経過した。【考察】スポーツ選手の失神の原因の一つに血管迷走神経反射の関与が言われているが、運動後心肺停止に至った若年例はまれで、診断は必ずしも容易ではない。本症例は、AED記録により一過性房室ブロック、ホルター心電図装着時の留置針刺入刺激によりSA、薬理的除神経を含むEPSにより、血管迷走神経反射によるlong pauseを証明できた。【結語】小児の運動時心停止において自律神経関与による徐脈性不整脈を考慮する必要性がある。