The 52st Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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ポスターセッション

電気生理学・不整脈6

ポスターセッション(P27)
電気生理学・不整脈6

Thu. Jul 7, 2016 6:00 PM - 7:00 PM ポスター会場 (天空 ノース)

座長:
高橋 一浩(木沢記念病院 小児科)

P27-01~P27-05

6:00 PM - 7:00 PM

[P27-05] 脳梗塞を契機に発見された洞停止による高度徐脈をきたした14歳女児例

川合 英一郎1, 守谷 充司1, 相原 悠1, 新田 恩1, 村田 祐二1, 大浦 敏博1, 石田 明彦2 (1.仙台市立病院 小児科, 2.仙台市立病院 循環器科)

Keywords:洞停止、心房心筋症、脳梗塞

患者は生来健康な14歳女児。過去の学校心電図健診でも異常は認めていなかった。入院3日前より頭痛、嘔吐が出現。入院前日夕方に左上下肢の脱力と構音障害が出現した。当院入院当日朝、近医にて脳梗塞および高度徐脈と診断され当院へ紹介となった。頭部CTおよびMRIでは右中大脳動脈領域の虚血性変化を認め、右内頸動脈での梗塞であった。また、左基底核にも陳旧性梗塞も認めた。心電図ではP波は全く認めない洞停止であり、調律は接合部調律であった。経胸壁および経食道心エコーでは明らかな心内奇形および血栓は認めなかったが、心房収縮が全くない状態であったこと、明らかな右左シャントは存在しないことから左房内血栓が脳梗塞の原因と考えられた。入院後のホルター心電図では平均心拍数37bpm、最大ポーズは入眠中で約7秒であったが、日中は活動に比例して心拍数が増加しており、徐脈による症状や心不全症状は認めなかった。心臓カテーテルによる電気生理学的検査を施行しペースメーカー植え込みの適応について検討したが右心房壁および心房中隔では刺激への反応が見られず、心房心筋症と考えられた。また、リハビリによる運動機能回復後に行った運動負荷試験でも運動強度にあわせて接合部調律でHR130台まで上昇し十分な運動耐容能が確認されたため積極的なペースメーカー埋め込みの適応はないと判断した。患者は現在、外来にてワーファリンによる抗凝固およびリハビリを行っている。小児における洞不全症候群では著明な洞性徐脈は経験されるが、P波が完全に消失した洞停止は非常に珍しく、報告もごくわずかである。本症例は洞停止が原因と思われる脳梗塞を発症しており、貴重な症例と思われたのでここに報告する。