6:00 PM - 7:00 PM
[P27-04] 心筋リモデリングを伴った先天性完全房室ブロック
Keywords:先天性完全房室ブロック、QT延長、心筋リモデリング
【はじめに】心臓構造異常を伴わない先天性完全房室ブロック(以下CAVB)の約2割にQT延長を合併し、致死性不整脈の発生率やペースメーカー留置率が上がると報告されている。【症例】在胎38週、出生体重2650gの男児。在胎24週時にCAVB(心拍数55bpm)、母体抗SS-A抗体陽性を指摘された。その後徐脈は進行したが心不全兆候を認めず正期産で予定帝王切開となった。APGAR score 7/8、心拍数40bpmの高度徐脈のため直ちに永久ペースメーカー留置術が行われた。DDDペーシングにより心拍数は上昇したが血圧が低下して循環動態の安定が得られず、心室ペーシング(心拍数100bpm)に設定変更したところ安定した。心エコー図では心筋の肥厚と肉柱の増生が認められた。日齢1の心電図でQT延長(QTc=535msec)及びspike on T所見を認め、TdPを含む心室頻拍に注意して観察したところ約1か月の経過でQT時間は短縮(QTc=482msec)した。その後も発作性の不整脈はなく成長・発達も良好で生後5か月を迎えた(QTc=450msec)。心筋肥厚と肉柱は徐々に改善している。【考察】本症例では、CAVBによる胎児期の慢性的な徐脈によって心筋がリモデリングし、心室コンプライアンス低下が引き起こされたと推測される。生直後の管理として心房レートに追従したDDDペーシングでは、心拍数の上昇に対して心室が有効な心拍出量を維持することができなかったと思われる。生理的なDDDペーシングよりも、心拍数を抑えて拡張時間を十分に取った心室ペーシングの方が有効だった。QT延長が合併していたが、適切なペーシングと注意深い観察により致死性不整脈は認められていない。心筋構築の改善とともに、QT時間の正常化が認められた。CAVBにおける心筋リモデリングとQT延長の発生機序について考える上で興味深い。【結語】高度胎児徐脈、心筋リモデリングを伴うCAVBではQT延長の合併に留意し心室コンプライアンスを考慮した適切なペーシング法が必要である。