第52回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

電気生理学・不整脈6

ポスターセッション(P27)
電気生理学・不整脈6

2016年7月7日(木) 18:00 〜 19:00 ポスター会場 (天空 ノース)

座長:
高橋 一浩(木沢記念病院 小児科)

P27-01~P27-05

18:00 〜 19:00

[P27-03] 乳児健診を契機に診断された頻脈誘発性心筋症の1例

佐藤 啓1, 藤田 修平1, 臼田 和生2, 畑崎 喜芳1, 廣野 恵一3, 市田 蕗子3 (1.富山県立中央病院 小児科, 2.富山県立中央病院 循環器内科, 3.富山大学附属病院 小児科)

キーワード:頻脈性不整脈、急性心不全、乳児

【背景】乳児期発症の急性心不全は稀であり、その原因として特発性乳頭筋断裂や特発性拡張型心筋症、左冠動脈肺動脈起始症といったものが挙げられる。一方で、頻脈に伴い可逆性に心機能が低下することが報告されているが、乳児症例の報告は少ない。【症例】4ヶ月男児。36週4日、2362gで出生し、生来健康であった。4ヶ月健診の際に、脈の不整と多汗を指摘され、精査目的に当院へ紹介となった。受診時、著明な心拡大(CTR 0.65)とHR 220-240bpmのirregular narrow QRS tachycardiaを認め、心臓超音波検査ではEF 0.30と左室収縮能の著明な低下があり、急性心不全として集中治療室で加療を開始した。amiodarone 5mg/kg静注で治療を開始したが、伝導抑制に伴い呼吸・循環動態が破綻した。直ちに挿管し、adrenaline、dopamine、milrinoneの投与を開始し、心筋炎も念頭にガンマグロブリンの投与も開始した。amiodarone 10mg/kg/dayで持続静注を行ったが、頻脈は難治性でwide QRS tachycardiaも多発するようになったため、landiolol 10γで併用したところ、HRの低下とともに血圧が低下し、adrenaline投与およびdopamineの増量を要した。PCPS導入も検討されたが、心機能抑制作用の弱いaprindine 1.5mg/kg静注を行い、さらにlandiololを5γで併用することで、循環動態を維持したまま次第に心拍数のコントロールが可能となった。dopamine、landiololは漸減・中止し、13病日に一般病棟へ転棟したが、その後も突発的にHR 200bpm台のirregular tachycardiaを認め、landiololの投与が必要であった。心房興奮抑制および安定したβ遮断作用を期待して、aprindineとatenololの内服を開始し、それ以降は頻拍発作なく経過した。【結論】頻脈性不整脈による急性心不全を来した乳児症例を経験した。乳児期の頻脈誘発性心筋症は稀であるが、頻拍のコントロールにより心機能の改善が期待でき、早期診断と治療開始が重要であると思われた。