The 52st Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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ポスターセッション

電気生理学・不整脈6

ポスターセッション(P27)
電気生理学・不整脈6

Thu. Jul 7, 2016 6:00 PM - 7:00 PM ポスター会場 (天空 ノース)

座長:
高橋 一浩(木沢記念病院 小児科)

P27-01~P27-05

6:00 PM - 7:00 PM

[P27-02] 冠静脈洞憩室を合併したWPW症候群の15歳男児例

藤田 修平1, 臼田 和生2, 佐藤 啓1, 畑崎 喜芳1 (1.富山県立中央病院 小児科, 2.富山県立中央病院 内科)

Keywords:カテーテルアブレーション、WPW症候群、小児

【はじめに】後中隔副伝導路や左後壁副伝導路では稀に冠静脈洞奇形を伴うことがあり、中心臓静脈や冠静脈洞憩室頚部での高周波通電で副伝導路の切断が有効なことがある。【症例】症例は15歳男児。小学校1年、中学1年の学校心臓検診でデルタ波を指摘されていたが、心臓超音波での心機能低下、ホルター心電図での頻拍発作、心房細動などを認めず、動悸発作もないため外来経過観察となっていた。デルタ波の極性(II, III, aVF誘導の陰性)からは左後壁もしくは右後中隔副伝導路が疑われた。中学2年冬より動悸発作が出現したため、カテーテルアブレーション治療の方針となった。静脈麻酔下に高位右房、His束、CS、右室心尖部に電極カテーテルを配置し、心臓電気生理学検査を行ったところ副伝導路を逆伝導する房室回帰性頻拍が誘発された。CS電極カテーテルの興奮伝播様式より左後壁副伝導路と判断した。しかし経中隔アプローチで僧帽弁輪後壁をマッピングし通電を行ったが無効であった。右後中隔副伝導路の可能性を考慮し、右房側を洞調律下でマッピングを行ったところ、CS開口部より約10mm内側部でAV peak 30msで連続し、明瞭なaccessory pathway potentialを認めた。同部位で通電したところ通電後2.4秒でデルタ波は消失し副伝導路の離断に成功した(Thermal control 50℃、19W、103Ω)。通電後の心室刺激で副伝導路の室房伝導の消失も確認した。アブレーション後に行った右房造影で通電部位が冠静脈洞憩室頚部にあたることが判明した。術後に行った心臓超音波検査、心臓3DCTでも冠静脈洞憩室が確認された。【結語】後中隔副伝導路や左後壁副伝導路では冠静脈奇形に伴う副伝導路のためアブレーション治療に難渋する症例もあり、アブレーション治療を効率よく安全に行うためには術前の心電図によるデルタ波部位診断、心臓超音波、3DCTなどの画像検査での憩室の確認、マッピング前のCS造影での確認が重要であると思われた。