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[P29-01] 小児心臓術後早期における低Na血症に対するトルバプタンの有効性と安全性
Keywords:トルバプタン、低Na血症、安全性
【背景】心臓術後管理において適切な水分管理は重要な要素である。術後早期の体液貯留の管理中に低Na血症に遭遇する場合、多くの利尿剤は低Na血症を助長するため使用しづらい。また、潜在的な低心機能状態であり食塩を負荷することには限界がある。【目的】低Na血症を伴う小児心臓術後早期の体液貯留におけるトルバプタン(tvp)の有効性と安全性を検証する。【方法】2015年に当院で心臓手術をした7例の先天性心疾患(VSD1例、ASD3例、PDA3例)の小児を対象にtvp使用群と不使用群に分け後方視的に比較検討した。評価項目は年齢、人工心肺使用の有無、手術時間、術後早期(POD2以内)の血中Na濃度の最低値、その時の血漿浸透圧、尿浸透圧。さらにtvp使用群では前後の体重の変化率、血中Na濃度の変化、有害事象の有無を検証した。【結果】 7例に対し術後早期の輸液は維持の50-60%で開始し、フロセミドなど利尿剤を併用した。全例で術後2日目までに低Na血症を呈し、うち5例(VSD1例、ASD3例、PDA1例)に対してtvpを0.2mg/kg分1で使用した。tvp使用群は不使用群(PDA2例)に比べて最低血中Na値が低く(129.8 vs 134.5mEq/L)、人工心肺使用率は(4/5 vs 0/2)は高く、手術時間は(211vs 110min)長い傾向を認めた。年齢(5.9歳vs 4.1歳)、血漿浸透圧(271 vs 279mOsm/kg)尿浸透圧(557.5 vs 442mOsm/kg)に差はなかった。tvp使用群では前後の体重の変化は緩徐(平均-4.4%)で、血中Na濃度は投与後速やかに平均4mEq/L上昇し以降正常値で安定したため1-2日で終了した。【考察】2群間の比較は対象数が少なく統計学的な有意差が出なかった。tvpによる有害事象はなかった。【結論】小児心臓術後早期における低Na血症に対してtvpは有効かつ安全に使用できた。症例数を増やし前向きに検討を行う必要がある。