The 52st Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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ポスターセッション

集中治療・周術期管理1

ポスターセッション(P29)
集中治療・周術期管理1

Thu. Jul 7, 2016 6:00 PM - 7:00 PM ポスター会場 (天空 ノース)

座長:
石井 徹子(東京女子医科大学)

P29-01~P29-05

6:00 PM - 7:00 PM

[P29-04] 重症心不全を有する早産・低出生体重児2例に対するトルバプタンの使用経験

島 貴史1, 漢 伸彦1, 杉谷 雄一郎2, 兒玉 祥彦2, 佐川 浩一2, 石川 司郎2 (1.福岡市立こども病院 新生児科, 2.福岡市立こども病院 循環器科)

Keywords:新生児、トルバプタン、心不全

【緒言】バソプレシンV2受容体拮抗薬のトルバプタン(TLV)の報告が増加しているが、新生児の使用報告は少ない。今回、難治性心不全に対してTLVを使用した新生児2例を経験したので報告する。【症例1】左心低形成症候群、総肺静脈還流異常症、両側乳び胸の胎児診断で胎児胸腔羊水腔シャント留置を行った男児。在胎34週2日、体重1781gで出生。生直後より挿管され、両側胸腔穿刺・持続吸引、アルプロスタジル(PG) 、ドパミン・ドブタミンを投与された。乳び胸にプレドニゾロン、オクトレオチドを投与するも胸水200-400ml/日で続き、血液製剤の投与も行ったが、無尿であった。日齢4にカルペリチドを使用したが無効であった(中央値0.8ml/kg/時)。日齢30にTLV 0.1mg/kg/日を腸管運動低下のため注腸で投与開始。日齢35にTLV 0.2mg/kg/日に増量し、排尿が見られるようになった(中央値2.8ml/kg/時)。乳び胸が改善せず日齢78で永眠。【症例2】在胎37週0日、体重2194g、双胎のため帝王切開で出生した女児。日齢2に心疾患を疑われ、当院に紹介。僧房弁閉鎖、両大血管右室起始症、大動脈縮窄症の診断で、PGと窒素吸入開始。日齢9に人工呼吸管理となった。両側肺動脈絞扼術の予定であったが肺炎のため延期で延期。日齢20 無尿となり、TLV 0.1mg/kg/日を開始。日齢21 TLV 0.2mg/kg/日として排尿が見られるようになった(2ml/kg/時)。日齢22に手術を行った。【考察】2例の新生児に対してTLVを使用し利尿効果が得られた。経過中電解質の異常もなく、安全に投与することが可能であった。新生児症例では、重症心不全症例では経口投与できないこともあり、注腸投与でも経口投与とほぼ同等の効果が認められた。今後症例数を蓄積し、新生児、早産・低出生体重児での適正使用に関する知見が得られることを期待する。