1:50 PM - 2:40 PM
[P30-03] ファロー四徴症に対する心内修復術直前に急性骨髄性白血病を発症した21トリソミーの一例
Keywords:ファロー四徴症、急性骨髄性白血病、21トリソミー
【背景】21トリソミーの児においては、特に一過性骨髄増殖症(TAM)を発症した児の20%程度に急性骨髄性白血病(AML)の発症が認められるとされる。我々は、心内修復術(ICR)の直前に血小板減少を契機にAMLの診断に至り、化学療法に先行してICRを施行した貴重な1例を経験した。【症例】在胎38週6日、体重2605gにて出生し、顔貌などから21トリソミーと診断された。出生後の心エコーにてファロー四徴症(TOF)と診断し、肺動脈弁狭窄に対して日齢7に経皮的バルーン拡張術を施行して退院となった。また、出生時採血にてHt59.6%,Plt9.6万/μl,blast4.5%と多血症・血小板低下・一過性骨髄増殖症(TAM)を認めたが経過観察のみで軽快した。外来での経過観察中には、明らかな低酸素発作の既往はなく体重増加も順調であった。徐々にチアノーゼが進行したため、1歳1ヶ月時にICR術前評価のための心臓カテーテル検査目的に入院した。この際の採血で、末梢血blast4.0%と血小板減少3.0万/μlを認め、骨髄穿刺の結果AMLと診断した。人工心肺が骨髄に与える悪影響および低酸素発作の可能性がある状態での化学療法のリスクなどを検討した結果、1歳2ヶ月時にICRを施行した。術後は骨髄抑制や重症感染症・腫瘍崩壊症候群などの出現はなく、現在AMLに対する化学療法を施行中である。【考察】21トリソミーの児については、常にAMLなどの白血病の発症を念頭に置いた診療が重要である。本症例は、ICRの直前にAMLの診断となり、どちらの治療を先行すべきか判断に苦慮した。成人の慢性リンパ性白血病においては、人工心肺を用いた心臓手術は慢性リンパ性白血病の自然予後に悪影響を与えず、禁忌ではないと結論としているが、小児では同様の報告はない。今回の症例の経過について文献的考察も含めて報告する。