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[P33-03] MYH7遺伝子変異を認めた左室心筋緻密化障害の3同胞例
Keywords:心筋症、心筋緻密化障害、MYH7
【緒言】左室心筋緻密化障害(LVNC)は、心室壁の過剰な網目状の肉柱形成と深い間隙を形態的特徴とする心筋症である。高率に家族例が認められ、近年、遺伝的多様性が明らかになり多数の遺伝子異常が報告されている。同胞3人ともLVNCを発症した1家系を経験し、次世代シークエンサーを用いた遺伝子解析により心筋βミオシン重鎖をコードするMYH7遺伝子異常を同定した。【症例】症例1は1歳5か月男児。失神で発症し、精査でLNVCと診断した。感染を契機に心不全が増悪し、2歳0か月時に死亡した。症例2は女児。症例1が1歳9か月の時に出生し、出生後にLVNCと診断した。両親が心移植を希望し、その準備を行っている最中の4歳時に突如、心肺停止となり蘇生処置を行ったが低酸素性虚血性脳症を来し移植は適応外となった。7歳時に心不全のために死亡した。症例3は女児。上記のような家族歴を認めることから出生直後にLVNCと診断し、抗心不全療法を行うも心不全の進行により1歳0か月時に死亡した。家族の同意を得て病理解剖を行い、両心室の著明な肉柱の形成を確認した。また家族の同意を得て3症例の遺伝子解析を行い、いずれもMYH7遺伝子のヘテロ接合体のミスセンス変異(c.5740G>A,p.Glu1014Lys)を認めた。【考察】成人を中心としたLVNCの遺伝子解析では、これまで肥大型心筋症や拡張型心筋症で報告されているサルコメア蛋白の遺伝子異常が多数報告され、MYH7遺伝子変異もその1つであり、近年、胎児や小児期発症のLVNCでの報告も散見される。サルコメア遺伝子異常が表現型の異なる心筋症の原因となっていることから種々の心筋症の発生学的な連続性が推測されている。成因解明以外にも心筋疾患の早期診断、リスク層別化などに遺伝子診断の応用が期待され、今後、心筋疾患における遺伝子診断はより重要になると思われる。今回、家族性LVNCの3同胞に対して次世代シークエンサーを用いた網羅的解析を行い、短期間で変異遺伝子を同定することができ、有用であった。