第52回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

心筋心膜疾患2

ポスターセッション(P34)
心筋心膜疾患2

2016年7月7日(木) 18:00 〜 19:00 ポスター会場 (天空 ノース)

座長:
阿部 正徳(日本医科大学 小児科)

P34-01~P34-05

18:00 〜 19:00

[P34-04] 心内修復術後に遅発性心タンポナーデを発症する心房中隔欠損症の特徴

仁田 学1, 瀧聞 浄宏1, 安河内 聰1, 武井 黄太1, 田澤 星一1, 島袋 篤哉1, 百木 恒太1, 内海 雅史1, 新富 静矢2, 梅津 健太郎2, 岡村 達2 (1.長野県立こども病院 循環器小児科, 2.長野県立こども病院 心臓血管外科)

キーワード:心膜切開後症候群、心房中隔欠損症、ST上昇

【背景】心膜切開術後にしばしば心膜切開後症候群の発生を経験するが、その頻度や特徴については十分に検討がなされていない。当院で1993年5月から2015年12月の期間に実施した計2,437件の開心術のうち、18例(0.007%)で遅発性心タンポナーデを発症している。その中で心房中隔欠損症(ASD)術後が11例と最多であった。【目的】ASDの外科的修復術後に遅発性心タンポナーデを発症した症例の特徴を明らかにすること。【方法】ASDの心内修復術後に遅発性心タンポナーデを発症した11例のうち、周術期の心電図記録(12誘導あるいはモニター)が解析可能な7例(男児4例、平均6.1歳:1-13歳)と、最も直近の症例で遅発性心タンポナーデを発症しなかった10例(男児5例、平均6.7歳:2-14歳)の2群で、1.肺体血流比(Qp/Qs)、2.術式(直接閉鎖/パッチ閉鎖)、3.体外循環/大動脈遮断時間、4.炎症マーカー(白血球数、CRP値)の最大値と退院時点での数値、5.手術翌日と退院前の心電図でのST上昇(12誘導記録があれば、基線からJ点までの電位が最大となる誘導における基線からJ点までの波高値)について比較検討を行った。【結果】Qp/Qs、術式、体外循環時間/大動脈遮断時間、炎症マーカーについては両群間に統計学的有意差を認めなかった。一方で、心電図所見については遅発性心タンポナーデ発症群で手術翌日に有意なST上昇を示した(2.7±0.7mm vs 1.9±0.6mm、p=0.02)。退院時は両群全例でST部分は基線レベルに復していた。【考察】心膜切開後症候群は心筋や心膜における術後の炎症応答により生じるが、既存の炎症マーカーよりも急性期の心電図におけるST上昇の方が、心筋・心膜の炎症の程度を鋭敏に反映している可能性がある。【結論】ASD術後に心膜切開後症候群を発症する症例は術後急性期のST上昇がより高度であった。ASD術後急性期の心電図変化は心膜切開後症候群発症のリスク層別化に有用である可能性がある。