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[P35-04] 課外活動中に生じた致死的不整脈に対し適切な一次救命処置とAEDによる除細動が行われ救命し得た拘束型心筋症の学童例
Keywords:拘束型心筋症、心肺停止、心電図検診
【諸言】拘束型心筋症(RCM)は心臓移植以外に根本的な治療がなく、致死的な不整脈により突然死が発生する可能性も高い極めて予後不良の稀な心筋症である。今回我々は小学校での心電図検診の機会を逃したまま経過し、心室細動(VF)から心肺停止となり、速やかなCPRとAED使用により蘇生に成功したRCM例を経験した。突然死のリスクの高い重篤な心疾患患者のAEDの重要性を再考する。【症例】12歳女児、小学校6年生。既往歴:特記事項なし。心筋症、突然死の家族歴はなし。小学校4年生のときに海外から転入したため学校心臓検診は受診していない。校医内科検診では異常を指摘されていない。【経過】課外活動時に突然心肺停止となり、偶然居合わせた看護師により速やかにCPRが開始され、約8分後にAEDを用いた除細動が行われその後当院搬送された。心拍再開までは約50分であった。心拍再開後、PCPS、人工呼吸管理、低体温療法を3日間施行したがいずれも問題なく離脱できた。AEDの解析結果はVFであった。胸部X線検査では左第3弓が突出し、心電図では高度の左房負荷所見と左側誘導でのST低下と陰性T波を認めた。心エコーでは、左心収縮は正常でMRは軽度であるにもかかわらず著明なLAの拡大を認めRCMと診断した。心臓MRI検査でLVEDV57ml(58% of normal)と著明な左室拡張末期容量の低下し、心臓カテーテル検査でLVp92/EDP34mmHgと左室拡張末期圧の上昇を確認した。第47病日にICDを挿入。その後は特にイベントはなく脳神経学的後遺症を残さずに退院となった。ICDの作動は確認されていない。【考察】今回我々が経験した症例は、CPRとAED装着が速やかに行われ救命し得た。突然死発生の予防にはBLSやAEDの重要性を一般人により広く啓蒙する必要がある。また本例が学校心臓検診を受診していたらこのような経過を辿らずに管理されていた可能性もある。学校心臓検診の重要性をさらに広め受診率を100%にするように努力する必要がある。