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[P35-05] 心臓再同期療法で著明な心機能改善が得られた完全左脚ブロックを伴う拡張型心筋症の乳児例
Keywords:拡張型心筋症、心臓再同期療法、乳児
【はじめに】小児拡張型心筋症 (DCM)に対する心臓再同期療法 (CRT)の報告例は限られている。また成人領域ではCRTのresponderの予測因子の一つとして、機械的心室内非同期を示す心電図上の左脚ブロック(LBBB)所見が上げられるが、小児領域で予測因子となり得るかは明らかでない。今回我々は、CRTが著効した心電図上LBBB所見を伴う乳児期早期発症のDCMの1例を経験したので報告する。【症例】4ヶ月男児。1ヶ月検診で心雑音を指摘、心臓超音波検査で器質的疾患はなかったが、左室拡張末期径(LVDd)34.5mm(正常期待値の160%)と左室容量負荷の所見を認めた。収縮能は保たれていたため、生後6ヶ月で再検予定とされた。4ヶ月時、感冒症状を契機に前医を再診、顔色不良、強い呼吸困難症状があり当科紹介入院となった。来院時、胸部X線写真で心胸比 68.6%と心拡大あり、軽度の肺うっ血を認めた。心臓超音波検査でLVDd 48.4mm(正常期待値の212%)、左室駆出率(LVEF)30%と左室拡大および収縮能低下を認め、また中等度の僧帽弁閉鎖不全を認めた。脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)は1516.7pg/mlと上昇していた。心電図は完全左脚ブロックでQRS時間は160msと延長していた。二次性心筋症、心筋炎は否定的で、特発性DCMと診断、ドブタミン、ミルリノン、利尿剤を開始した。心臓超音波検査で左室心尖のshufflingを認め心室内非同期が疑われた。カテコラミン依存の状態が続いたため、CRTの適応と考え、生後5ヶ月時(診断後1ヶ月)にCRT-P(DDD100-170、RV-LV delay 20ms)を導入した。導入後1ヶ月でLVDd 39.5mm(正常期待値の173%)に縮小、カテコラミンを離脱できた。導入後2ヶ月でBNPは正常化、導入後5ヶ月でLVDd 32.3mm(正常期待値の128%)、LVEF 49%まで改善した。【まとめ】完全左脚ブロック、特徴的な心室内非同期を伴う乳児期早期発症のDCMにおいてCRTは有効な治療になり得る。