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[P37-05] Glenn術により心移植を回避し得た右室優位の心筋炎後心筋症症例
キーワード:右心不全、心筋症、心筋炎
【背景】心筋炎後に右心が優位に障害される報告は少なく、内科的・外科的にも定まった治療法は無い。今回、心筋炎後に右心優位の心筋障害を来し、外科的治療にてADLの改善を得られた小児例を経験したので文献的考察を含めて報告する。【症例】15歳男児、生来健康。突然の胸痛・嘔吐で発症、心電図にて広範囲のST上昇と血清CK値の上昇認め、急性心筋炎と診断。同日入院の上、安静・経過観察のみで血行動態は1週間で安定。その後、抗心不全治療を開始するも右心拡大所見の改善に乏しく、NYHA III度のままで入院継続を余儀無くされた。心移植適応の要否に関し発症後4ヶ月で当院紹介。心臓カテーテル検査にてLV 101/8mmHg、LVEDV 91.9ml(51% of N)、LVEF 58.3%、RV 24/16mmHg、RVEDV 305.5ml(146% of N)、RVEF 12.8%、CI 1.63L/min/m2、と右室の著明な拡大と重度の右心機能障害を認めた。心移植を回避する為にbidirectional Glenn, RV plication, TAP施行し右室容量負荷の軽減を図った。術後3ヶ月のカテーテル検査にてRVEDV 307ml(147% of N)、RV 19/16mmHgと右室の容量負荷軽減には至らなかったがLVEDV 122ml(68% of N)、CI 2.86L/min/m2と上昇を認め、NYHA II度と登校可能な程にADLは改善した。【考察】術中に採取した右室壁病理所見では心筋組織の著明な減少と強度の弾性/膠原線維化が認められ、今後右心機能の改善は見込めないと予想された。今後コントロール困難な不整脈や心不全症状の増悪を来した場合には、心移植術の検討を要する。