The 52st Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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ポスターセッション

心不全・心移植2

ポスターセッション(P38)
心不全・心移植2

Fri. Jul 8, 2016 1:50 PM - 2:40 PM ポスター会場 (天空 ノース)

座長:
鎌田 政博(広島市立広島市民病院 小児循環器科)

P38-01~P38-05

1:50 PM - 2:40 PM

[P38-03] 当院における トルバプタン内服小児症例の実態およびその有効性・副作用について

福島 直哉, 住友 直文, 山田 浩之, 宮田 功一, 横山 晶一郎, 大木 寛生, 三浦 大 (東京都立小児総合医療センター 循環器科)

Keywords:トルバプタン、心不全、高Na血症

【背景】心不全では, バソプレッシン分泌が亢進し, 体液貯留やNa血症を起こし合併症や死亡率を増加させる. バソプレッシンのV2受容体に拮抗するトルバプタンは, 血圧低下を起こさず, うっ血状態を改善する水利尿剤である. しかし小児領域では保険適応はなく, 適切な使用法や効果・安全性は不明である. 【目的】当院におけるトルバプタンの使用実績から, 小児に対する使用法, 有効性・副作用を評価すること. 【方法】2010年3月~2015年12月に入院した18歳未満の心疾患にトルバプタンを使用した症例を対象とし,後方視的に調査した. 【結果】対象は16例で, 月齢は中央値 13 (最小値-最大値, 1-246), 男女比は 6: 10, 基礎心疾患は先天性心疾患13例, 心筋症3例で, 集中治療室で4例, 一般病棟で12例に開始されていた. 内服理由は 10例が心不全, 6例が難治性胸水の治療であった. 初期投与量は 0.10 (0.05- 0.30) mg/kg/日, 維持量 0.30 (0.15-0.75) mg/kg/日, 維持量までの増量期間 8 (0-97) 日, 内服継続期間は 73 (10-797)日であった. 心不全の 7例 (尿量増加, 体重減少, 哺乳量増加), 難治性胸水の 3例, 計10例で効果を認めた. Na値は導入前 (134.2mEq/L)から維持量となった際に 平均3.2mEq/L増加した (p = 0.017)が, 150mEq/Lを超えた例は6.85人・年の観察期間の内, 1例のみで減量し継続可能であった. 無効例は. 集中治療室の4例中3例, 一般病棟の 12例中 3例 (多臓器障害を認めたfailing Fontan 2例, 総肺静脈還流異常術後の肺静脈狭窄と先天性ネフローゼ症候群の合併 1例)であった. 30日を超えて継続した13例を含め全例で, 本薬剤との関連性が疑われる低血圧, 頻拍, 腎障害, 肝障害は出現しなかった.【考察】トルバプタンは集中治療を要する例や多臓器障害例を除いた全症例で有効であった. 心不全・難治性胸水の小児に対して副作用のリスクは低く, 長期の内服が可能と考えられる.