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[P41-03] ペースメーカー植込みとスピロノラクトン大量療法により軽快したFontan術後蛋白漏出性胃腸症の1例
Keywords:蛋白漏出性胃腸症、ペースメーカー、スピロノラクトン
【はじめに】Fontan術後の合併症の一つである蛋白漏出性胃腸症(PLE)は予後不良の疾患である。発症機序は不明な点が多く、さまざまな治療が報告されているが確立された治療法はない。また不整脈を合併するPLEの治療としてペースメーカー植込み(PMI)が推奨されるものの、その報告例は極めて少ない。今回我々はFontan術後、洞不全症候群(SSS)の女児に発症したPLEに対して、PMIとスピロノラクトン大量療法を行い軽快した症例を経験したので報告する。【症例】純型肺動脈閉鎖、Fontan術後の14歳女児。1歳でFontan手術を施行されたが、術後に下大静脈閉塞を来した。9歳でSSSが出現し、徐脈、PAT、PVCが認められた。13歳時に体重増加、むくみが出現。低蛋白血症を認め、便中α1アンチトリプシンおよび消化管蛋白漏出シンチの結果からPLEと診断した。入院し、もともと行われていた肺血管拡張薬、利尿薬の投与に加え、ヘパリン持続静注療法、スピロノラクトン大量療法を行ったが低蛋白血症は改善しなかった。入院9日目に開胸下、心外膜リードでPMIを施行。スピロノラクトン大量療法も継続した。術後低蛋白血症は改善したが、スピロノラクトンを減量したところTP、Albの低下が見られたため、スピロノラクトンを再度増量した。その後低蛋白血症は軽快し退院した(退院時TP 7.5g/dl、 Alb 3.7g/dl)。以後の外来フォローでも低蛋白血症の再燃はない。【考察】Fontan術後に発症したPLEの治療は、PLEに対する内科的治療とともに、不整脈のコントロールやFontan循環の狭窄や弁逆流など血行動態悪化要因への介入を行うことが重要とされる。本例もスピロノラクトン大量療法などの治療とともに、PMIによって不整脈のコントロールを行ったことが、PLEの軽快につながったと考えられる。【結語】不整脈を伴うPLEにおいて不整脈に介入することは、PLEの改善に寄与する可能性があり検討すべき治療の一つと考えられる。