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[P41-04] 蛋白漏出性胃腸症、門脈肝静脈短絡合併フォンタン術後患者に発症したショック肝-フォンタン関連肝疾患の病態について-
Keywords:Fontan associated liver disease、cholestasis、shock
【背景】Fontan関連肝疾患(FALD)は頻度、機序、病態等に関して不明な点が多い。高い中心静脈圧に起因する鬱血肝や門脈・肝動脈血流による肝血流分布の変化、血栓による肝循環不全、心拍出低下に伴う肝組織への酸素供給量の低下等、複合的な要因により肝組織障害が発現すると考えられている。【症例】13歳男児。Ebstein奇形、VSD、ASD、PDA、severe TR。Starnes術、体肺動脈短絡術、グレン術を経て2歳11ヶ月でTCPC施行。術前平均中心静脈圧(mCVP)は17mmHgで、肺生検はHE1、IPVD1.0であった。3歳10ヶ月mCVP14mmHg。4歳8ヶ月蛋白漏出性胃腸症(PLE)発症。ステロイド、spironolactone大量療法等で加療し寛解。8歳時に門脈肝静脈短絡を指摘。11歳5ヶ月PLE再発。寛解するもステロイド中止には至らなかった。Conduit吻合部狭窄に対し12歳1ヶ月心外導管修復術施行。その後もステロイドは中止できなかった。12歳7ヶ月mCVP8.5mmHg。13歳8ヶ月PLE再々発。急性胃粘膜病変を合併し止血困難でありthrombin投与、頻回輸血施行。肺鬱血に伴う呼吸障害を認め水分制限、利尿剤増量で対応。この頃から直接型優位の高ビリルビン血症を認めた。閉塞性黄疸は否定的であり、薬剤性を考慮して疑わしい薬剤は中止。経過中明らかな血圧低下は認めず、アンモニア上昇軽度。次第に見当識障害が出現し血漿交換+血液濾過透析施行。その後も肝不全改善せず肝移植も考慮したが国内での実施困難。13歳10ヶ月永眠。同意を得て採取した肝組織で毛細胆管内の胆汁鬱滞、中心静脈・類洞の拡大、肝細胞の融解性壊死等を認め、低心拍出に伴うショック肝と判断した。肝線維症は軽度であり、血栓形成は認めなかった。【考察】門脈肝静脈短絡があり、低心拍出であっても門脈血流が比較的保たれ肝動脈緩衝反応が顕著とならず肝細胞への循環不全を繰り返し生じた結果ショック肝に陥ったと考えた。本症例もFALDの一病態と考えられる。今後の症例の積み重ねが大切である。