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[P42-03] Fontan術後の胸水貯留に伴う低IgG血症に対して免疫グロブリン皮下注補充療法で補充し得た一症例
Keywords:Fontan術後、低IgG血症、免疫グロブリン皮下注療法
【はじめに】今回、Fontan術後患者で繰り返す胸水貯留とそれに伴う低IgG血症を認め、免疫グロブリン皮下注療法により補充し得た症例を経験したので報告する。【症例】症例は左心低形成症候群(僧帽弁狭窄、大動脈弁狭窄)の3歳の男児で、9ヶ月時に両方向性Glenn手術、2歳時にFontan手術を施行した。現在術後1年目で、胸水貯留、浮腫、低蛋白血症は術直後と術後5ヶ月目と11ヶ月目の3回認められ、血清IgGは、それぞれ200、200、105mg/dlだった。胸水の治療は、プレドニゾロン(2mg/kg/day)、ヘパリン(10単位/kg/day)で治療開始後に、改善し効果を得たので漸減終了した。低IgG血症に対して、術直後は静注にて免疫グロブリンを補充し、投与量は1回2.5g(220mg/kg)、タイミングは1-3日に1回(計25回)、初回投与後の血清IgGは465mg/dlで、改善まで50日間を要した。術後5ヶ月目と11ヶ月目の免疫グロブリンの補充を皮下注(1回2g(180mg/kg)を5時間、週2回)で行なったところ、5ヶ月目、11ヶ月目の初回投与後の血清IgGは、それぞれ363、125mg/dlで、IgG上昇に要した期間は、それぞれ32日間、35日間であった。また、皮下注投与中に疼痛による継続困難(自己抜去)や感染症などの合併症は認めず、低年齢児にも安全に行なえることが確認できた。【考察】免疫グロブリンの皮下注療法は静注療法と比較して短期間で改善できたが、要因として皮下注によりIgGが緩徐に吸収されることで急激な漏出を防ぎ、安定した増加が得られたためと考えられる。【結語】フォンタン術後患者の経過観察中に胸水貯留傾向に伴う低IgG血症に対して、免疫グロブリン皮下注療法の良好な有効性と安全性が得られた一例を経験した。