6:00 PM - 7:00 PM
[P42-06] フォンタン術後のPLEに合併した治療抵抗性の繰り返す消化管出血に対するきゅう帰膠艾湯療法
Keywords:フォンタン術、消化管出血、漢方薬治療
【背景】フォンタン術後の合併症のひとつに蛋白漏出性腸症PLE、消化管出血がある。各種治療法に抵抗性のことがある。今回、フォンタン術後に生じた難治性の繰り返す消化管出血に対して、漢方薬であるきゅう帰膠艾湯が著効した。【症例】8歳男児,基礎疾患は、無脾症、右室性単心室、共通房室弁でハイリスクであったため、3歳時に開窓心外導管フォンタン型手術を施行。術後早期にfenestrationは閉鎖し、術後1年の心臓カテーテル検査ではSpO2 96%、中心静脈圧CVP 16mmHg、CI 3.0l/min/m2であった。入院4ヶ月前から血性総蛋白TP、血性アルブミンAlb値が低下していたが、下痢などは認めなかった。その後、激しい腹痛、下血、嘔吐のため緊急入院。緊急内視鏡を行ったが明らかな出血部位は同定できず、下血が改善しないため輸血をくりかえした。核医学検査、CT検査を含めた各種検査を進め、PLEに関連した消化管(空腸)出血と診断した。しかし、再検した上部、下部消化管内視鏡検査でも明らかな出血部位を同定できず、有効な内視鏡的止血術は施行できなかった。ヘパリン療法、ブデゾニド投与は無効であった。入院4ヶ月間に15回の輸血が必要であった。開窓術は消化管出血が改善しないうちは手術のリスクが高いとの判断で施行できなかった。そこで、止血作用があるきゅう帰膠艾湯内服を開始したところ、3日間で肉眼的血便を認めなくなり、以後輸血療法なくても貧血が改善し,TP,Albは正常になった。CVP低下目的に、再度、人工導管開窓術を行う予定である。【結語】フォンタン術後PLEに合併した難治性消化管出血に対するきゅう帰膠艾湯療法は治療選択のひとつとなると思われた。