第52回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

成人先天性心疾患1

ポスターセッション(P49)
成人先天性心疾患1

2016年7月8日(金) 13:50 〜 14:40 ポスター会場 (天空 ノース)

座長:
高橋 一浩(不沢記念病院 小児科)

P49-01~P49-05

13:50 〜 14:40

[P49-04] 体成分分析は先天性心疾患における心不全管理において有用な指標である。

佐藤 正規, 稲井 慶, 清水 美妃子, 竹内 大二, 島田 衣里子, 石井 徹子, 豊原 啓子, 篠原 徳子, 杉山 央, 富松 宏文, 朴 仁三 (東京女子医科大学 循環器小児科)

キーワード:体成分分析、心不全、先天性心疾患

【背景】心不全の大部分は心拍出量低下のみならず心室充満圧の上昇や神経内分泌活動により引き起こされる過剰な容量負荷が原因と言われている。近年、生体に微弱な電流を通して体内抵抗値を求め、非侵襲的かつ簡便に身体の体水分量、細胞外水分量、細胞内水分量、体脂肪量などを測定できる生体電気インピーダンス法が体内の水分動態の評価に有用で心不全管理における水分管理の指標になるとの報告が散見される。しかし、先天性心疾患に伴う心不全に関して生体電気インピーダンスの有用性について検討した報告は少ない。今回、当科に入院した先天心疾患の患者に施行した体成分分析の結果を分析したので報告する。 
【対象】2014年4月から2015年3月まで先天性心疾患で当科に入院し体成分分析を施行した34例。 
【方法】診療録からの後方視的検討。患者プロファイル、入院時および退院時の体成分分析、血液検査、経胸壁心エコー、胸部Xp、心不全による再入院の有無について検討した。 
【結果】対象は34例で男性18例、女性16例。年齢は16-69歳(中央値41歳)、NYHA1が1名、2が14名、3が15名、4が3名であった。入院時のBNP値は体成分分析のEffusion index(r=0.47, p=0.02)、左室拡張末期径(r=0.76,p=0.001)、Na値(r=0.42,p=0.03)と有意な相関を認め、心不全群(NYHA3-4)では非心不全群(NYHA1-2)と比べて、Effuusion indexは高値(中央値0.40(0.37-0.43) vs 0.39(0.36-0.41),p=0.028)であった。また、退院までの体重変化は体成分分析の細胞外水分量(ECW)変化と相関した(r=0.74, p=0.05)。 心不全での再入院群は非再入院群と比べて、Effusion index(中央値0.38(0.36-0.39) vs 0.39(0.38-0.44),p=0.019)、BNP値(同39(6-313) vs 316(35-860)(pg/ml),p=0.026)が高値であった。 
【結論】体成分分析によるECW、Effusion indexは先天性心疾患における心不全の重症度評価、治療効果判定、予後予測に役立つ指標と考えられる。