6:00 PM - 7:00 PM
[P50-01] Fontan術後の成人患者における出血及び塞栓症の危険因子に関する検討
Keywords:Fontan、血栓塞栓症、抗凝固療法
【背景】Fontan術後患者の遠隔期において、血栓塞栓症は心不全と並んで予後不良の因子の一つである。一方で、抗凝固療法施行中の出血性合併症も問題となる。出血及び塞栓症のリスク因子については過去にも様々な報告がなされているが、網羅的に検討した報告は少ない。
【対象と方法】2009年から2015年に当院成人先天性心疾患外来に紹介された成人のFontan循環の患者116例を対象とした。重大な出血または塞栓症の有無と、年齢、性別、身長、体重、BMI、基礎心疾患、術式(APC法、LT法、EC法)、抗凝固薬(ワーファリン、アスピリン、NOAC)の使用の有無、ACE阻害薬、ARB、β遮断薬の使用の有無、臨床所見(心拍数、 SpO2、 血圧)、血液検査所見(PT、 APTT、 Fib、 FDP、 D-dimer、 TAT、 PIC、HbA1c、TC、LDL-C、TG、Hb、MCV、RDW、Plt、BNP)、心胸郭比、心エコー検査所見(EF、房室弁逆流、肺動脈stump、血栓)、カテーテル検査所見(CVP、RpI、CI、SaO2、主心室のEDP)の関係を比較検討した。
【結果】19.4±3.1年の経過観察期間に塞栓症を3例、重大な出血性イベントを19例に認めた。塞栓症が起きた群で体重が少なく(p=0.037)、収縮期血圧が低く(p=0.009)、心胸郭比が大きかった(p=0.011)。多変量解析では、収縮期血圧(p=0.003)、体重(p=0.034)が有意なリスク因子となった。また、出血性イベントが起きた群で肺動脈stumpのある症例が多かった(p=0.003)。
【考察】Fontan循環における塞栓症発症には、これまで指摘されているように循環が不良であることがリスク因子となり、低血圧という身近な指標にも注意して経過観察が必要と考えられた。出血の危険因子にも塞栓のリスク因子が挙がっており、塞栓が危惧される患者への抗凝固療法の強化の関連も示唆され、より慎重な経過観察とともに、今後より望ましい抗凝固療法の検討が重要だと考えられる。
【対象と方法】2009年から2015年に当院成人先天性心疾患外来に紹介された成人のFontan循環の患者116例を対象とした。重大な出血または塞栓症の有無と、年齢、性別、身長、体重、BMI、基礎心疾患、術式(APC法、LT法、EC法)、抗凝固薬(ワーファリン、アスピリン、NOAC)の使用の有無、ACE阻害薬、ARB、β遮断薬の使用の有無、臨床所見(心拍数、 SpO2、 血圧)、血液検査所見(PT、 APTT、 Fib、 FDP、 D-dimer、 TAT、 PIC、HbA1c、TC、LDL-C、TG、Hb、MCV、RDW、Plt、BNP)、心胸郭比、心エコー検査所見(EF、房室弁逆流、肺動脈stump、血栓)、カテーテル検査所見(CVP、RpI、CI、SaO2、主心室のEDP)の関係を比較検討した。
【結果】19.4±3.1年の経過観察期間に塞栓症を3例、重大な出血性イベントを19例に認めた。塞栓症が起きた群で体重が少なく(p=0.037)、収縮期血圧が低く(p=0.009)、心胸郭比が大きかった(p=0.011)。多変量解析では、収縮期血圧(p=0.003)、体重(p=0.034)が有意なリスク因子となった。また、出血性イベントが起きた群で肺動脈stumpのある症例が多かった(p=0.003)。
【考察】Fontan循環における塞栓症発症には、これまで指摘されているように循環が不良であることがリスク因子となり、低血圧という身近な指標にも注意して経過観察が必要と考えられた。出血の危険因子にも塞栓のリスク因子が挙がっており、塞栓が危惧される患者への抗凝固療法の強化の関連も示唆され、より慎重な経過観察とともに、今後より望ましい抗凝固療法の検討が重要だと考えられる。