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[P50-05] Fontan術後の肝障害監視にはVirtual Touch Quantificationによる評価が有用である
Keywords:Fontan、超音波、肝線維症
【はじめに】Fontan術後遠隔期の重要な合併症の1つである肝障害については未だ不明な点も多い。今回Fontan型手術後(F群)および待機例(C群:2心室手術非適応例含む)における肝障害について検討したので報告する。【対象と方法】対象は当院で経過観察中のF群15例とC群の7例, 計22例(男/女 10/12例;17.3±11.8歳;飲酒常習者1名, 蛋白漏出性胃腸症既往3名)で術後15.9±10.8年である。方法は肝エコーによりVirtual Touch Quantification (VTQ), 肝腫大, 肝表面, 辺縁所見, 腫瘤性病変, 肝実質エコー所見等を評価すると共に肝機能, ヒアルロン酸, IV型コラーゲン7s, P-III-P等について検討した。1例では経皮的肝生検を実施し得た。【結果】肝エコーで何らかの異常を認めたのは14例(63.6%)で, 主な異常所見は辺縁鈍52.3%, 実質エコー不均一化42.9%, 結節様所見23.8%で, VTQ (正常値<1.3 m/s)は2.33±1.04(最高4.39)m/s (n=6)と明らかな異常高値であった。一方, F群はC群に比べIV型コラーゲン7s (正常値<6 ng/ml) が有意に高値であり(8.8(SE=0.4) vs 5.4(SE=1.0) ng/ml; p <0.04, Wilcoxon検定), かつ肝エコー有所見例は正常例に比しIV型コラーゲン7s (8.9±1.5 vs 6.8±1.8 ng/ml; p <0.04)とT chol (156.0±22.7 vs 110.5±23.3 mg/dl; p<0.03)が有意に高値であった。 しかしP-III-P (1.17±0.75 vs 1.26±0.54; 正常値0.3-0.8 U/ml), ヒアルロン酸 (43.6±21.9 vs 58.4±63.0; 正常値<50 ng/ml), 肝逸脱酵素, CVP, BNPなどには有意な差を認めなかった。肝生検を施行した例(F群術後22年, 女性, VTQ= 2.3 m/s)は中心静脈を中心とした肝細胞脱落と線維性増生が特徴的だが, 術後現在に至るまで良好なQOLである。【結論】Fontan術後肝障害は臨床所見に乏しいが、血清線維化マーカーおよび肝エコーでのVTQ値, 辺縁鈍化, 不均一な実質エコーと結節様所見に着目して慎重に経過観察する必要があると考えられた。