The 52st Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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ポスターセッション

肺循環・肺高血圧・呼吸器疾患1

ポスターセッション(P54)
肺循環・肺高血圧・呼吸器疾患1

Wed. Jul 6, 2016 6:00 PM - 7:00 PM ポスター会場 (天空 ノース)

座長:
片山 博視(大阪医科大学附属病院 小児科)

P54-01~P54-05

6:00 PM - 7:00 PM

[P54-05] 門脈体循環短絡を伴う門脈性肺高血圧症3例の検討

稲熊 洸太郎, 松岡 道生, 石原 温子, 鷄内 伸二, 坂崎 尚徳 (兵庫県立尼崎総合医療センター 小児循環器内科)

Keywords:portopulmonary hypertention、congenital portosystemic shunt、hepatopulmonary syndrome

【背景】門脈体循環短絡(CPS)は門脈性肺高血圧(PoPH)や肝肺症候群(HPS)の原因となる。今回、HPS合併例を含むPoPHの臨床経過について報告する。【症例1】20歳女性、3歳時平均肺動脈圧(PAP)54mmHg、PVR6.9(tolazoline負荷後PVR3.1)、ASD閉鎖術施行。術後よりberaprostを内服継続し、18歳時PAP39mmHg、PVR5.5のため、ambrisentanを開始。20歳時に急性腹症で救急外来受診され、脾動脈瘤破裂に対しコイル塞栓術を施行。エコーで肝内門脈狭小、CTでCPSを認め、PoPHと診断。現在、bosentan内服中、今後CPSに対する塞栓術を検討中である。【症例2】19歳女性、6歳でVSD自然閉鎖を確認、経過中に肺高血圧を疑わせる所見なし。高校1年健診で異常を指摘され、PAP49mmHg、PVR13.7、CTでCPSを認め、PoPHと診断。HOT導入、tadarafil内服中。【症例3】28歳女性、TOF。1歳時に食道静脈瘤を指摘、4歳時に肝内門脈閉塞と診断。脾機能亢進による血小板減少のため、10歳時の脾摘後に心内修復へ到達。術後RV/LVP 0.38、PAP19mmHg。25歳頃から肝腫大と浮腫が出現し、PAP(s/d/m)62/21/31mmHg、Pp/Ps0.6 PVR10.8、CTでCPSを認め、PoPHと診断。sildenafil開始後、約1年でSpO2低下し、コントラストエコーおよび肺血流シンチで右左短絡を認め、HPSと診断。ambrisentanへ変更、HOT導入するも効果乏しく、28歳時に多臓器不全で永眠。【考察】症例1は、CPSが早期に診断されていれば脾動脈瘤破裂を回避できた可能性がある。また、症例2は肝内門脈異常なく、軽度の肝内門脈低形成でもPoPHが起こり得た。PAHの診療において、腹部エコーによるCPSのスクリーニングが重要である。症例3はPoPHとHPSを合併した興味深い症例であるが、合併例の治療については議論の余地がある。【結論】CHDにおけるCPSの合併は珍しくなく、PAHの原因として念頭に置くべきである。稀にPoPHとHPSの合併例もあり、PoPHの治療の際はHPSの鑑別が必要である。