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[P56-02] 慢性肺疾患、気管軟化症を合併した肺高血圧症の1例
キーワード:肺高血圧症、慢性肺疾患、気管軟化症
【背景】低出生体重児の慢性肺疾患(以下CLD)において呼吸障害に続発して肺高血圧症(以下PH)を併発し、治療に苦慮する場合がある。近年、様々なPHに対する治療法が開発され、生存率も向上しているが、CLDに合併したPH症例に対する治療法は確立されていない。今回我々はCLDに合併したPH症例の経過を報告する。【症例】男児。早期破水のため緊急帝王切開にて24週3日、Apgar score 3/7、695g出生。呼吸障害のため長期呼吸器管理されていた。日齢27にPHのためNO、シルデナフィルを開始。改善し、日齢45でNOを中止し、日齢80でシルデナフィルを中止。日齢99で抜管し、日齢168に退院。退院後、誤嚥を契機に多呼吸、陥没呼吸出現し、日齢190に入院。喘息性気管支炎と診断され、ステロイド吸入を施行。日齢195、啼泣を契機に著明なチアノーゼ出現。挿管し、人工呼吸器管理としたが、改善せず。心エコーにてPH crisisと診断。深鎮静とし、NO、ボセンタン、タダラフィル、エポプロステノールを開始し、高PEEPで管理したところPHは改善。その後もNO中止、PEEPを下げるとPHの増悪を認めた。日齢263に気管切開術を施行し、状態は一時安定し、NO中止、PEEPを下げることができた。日齢322に感染を契機とし、PH増悪し、NO再開。日齢323に啼泣を契機に著明なチアノーゼをきたし、一時心肺停止となった。日齢337に気管支鏡を施行し、気管支の一部の狭小化を認め、気管支軟化症と診断。その後高PEEPを継続し、小康状態となり、現在も管理中である。【考察】CLD、気管軟化症に合併したPH症例に対しNO, ボセンタン、タダラフィル、エポプロステノールを用いPHコントロールが可能であった。しかし感染、気管軟化症の増悪からPHコントロールが不良となった。今後このような症例は増加すると思われ、新生児領域における2次性PH治療の症例の集積が必要と思われた。