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[P57-03] 高流量性肺高血圧における末梢肺動脈の組織像と臨床所見の相関性の検討
Keywords:高流量性肺高血圧、肺血管抵抗、肺生検
【背景】高流量性肺高血圧において、末梢肺動脈の内膜および中膜の線維性肥厚の程度と臨床所見の相関性は不明である。【目的】高流量性肺高血圧のため肺動脈絞扼術を施行した症例の末梢肺動脈組織像と心臓カテーテル検査における評価との相違を検討する。【方法】肺動脈絞扼術前の心臓カテーテル検査にて肺動脈圧および肺血管抵抗(Rp)を測定。又肺動脈絞扼術時に肺生検を施行し、末梢肺動脈組織像と心臓カテーテル検査時の評価の比較検討を行った。【対象】当院で心臓カテーテル検査および肺動脈絞扼時に肺生検を施行した5例を対象とした。疾患はVSD 4例、VSD・ASD 1例であった。また5例のうちDown症 2例、VATER症候群 1例であった。心臓カテーテル検査は1か月時に4例、2か月時に1例それぞれ行った。また肺生検は1か月時に2例、2か月時に2例、4か月時に1例それぞれ行った。【結果】全例で肺動脈圧は左心室圧と等圧であり、平均Qp/Qsは3.93、平均Rpは3.2単位であった。症候群でない2症例ではRpは2単位以下であり、組織学的にも中等度の中膜肥厚のみで内膜肥厚を認めず、いずれもIPVD 1およびHeath-Edwards分類(HE分類)1度であった。基礎疾患のある3症例では、VATER症候群にてRp 6.7単位と高値であり、組織学的には中等度の中膜肥厚と内膜の細胞性肥厚を認めたが、IPVD 1.2・HE分類 2度であった。Down症の2例はRp 2.6単位と3.5単位であったが、いずれも中等度の中膜肥厚のみで内膜病変を認めずIPVD 1・HE分類1度であった。【結論】今回の検討ではRpが正常もしくは軽度上昇の症例が多かったが、いずれも組織学的には中膜肥厚のみで内膜肥厚を認めず、Rp値と矛盾しない結果であった。今後はRp高値の症例にても組織像との相関性を検討する必要があると思われた。