The 52st Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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ポスターセッション

肺循環・肺高血圧・呼吸器疾患4

ポスターセッション(P57)
肺循環・肺高血圧・呼吸器疾患4

Wed. Jul 6, 2016 6:00 PM - 7:00 PM ポスター会場 (天空 ノース)

座長:
澤田 博文(三重大学大学院 医学系研究科 麻酔集中治療学)

P57-01~P57-05

6:00 PM - 7:00 PM

[P57-04] 心房中隔欠損に合併した肺動脈性肺高血圧症の特性と適切な治療戦略

中山 智孝, 高月 晋一, 直井 和之, 池原 聡, 松裏 裕行, 佐地 勉 (東邦大学医療センター大森病院 小児科)

Keywords:肺高血圧、心房中隔欠損、予後

【背景】肺動脈性肺高血圧症(PAH)の診療において心房中隔欠損(ASD)合併例をしばしば経験する。診断時の年齢や欠損孔のサイズは症例によって異なり、臨床像は多彩である。【目的】ASDに合併したPAH症例の臨床像を明らかにし、適切な治療方針を検討する。【対象・方法】当院で定期観察しえたASD(卵円孔開存は除く)に合併したPAH13例の患者背景、血行動態、治療内容、臨床転帰を調査した。【結果】診断時年齢は中央値12.7(1.5~60)歳、性別は11:2と女性に多く、ASD径は16.4(4-36)mm、部位は二次孔型(12)・静脈洞型PAPVR合併(1)、その他に多脾症候群・門脈下大静脈シャント・真性多血症を1例ずつ合併あり。CHDやPAHの家族歴なし、遺伝子変異例なし。診断契機は労作時息切れ(5、うち成人4)・学校検診(3)・心拡大(3)・チアノーゼ(1)・II音亢進(1)、ASDの診断時期は幼児期までに既診断(2)・PAH診断と同時(8)・PAH診断以降(3)に分かれた。初回カテ時の肺動脈平均圧60(35-110)mmHg、肺血管抵抗15.3(4.3-33.4)単位・m 2、Qp/Qsは0.95(0.68-2.7)で、当院初診時の年齢は18.6(6.9-60)歳、PAH病脳期間は最長18.4年。1例は手術適応境界例で閉鎖術後にPAHが急速に進行した。現在までに投与されたPAH特異的治療薬はPDE5阻害薬(11)・エンドセリン受容体拮抗薬(7)・PGI2経口(6)・PGI2静注(2)の順で、2剤併用(7)・3剤併用(4)・単剤(2)と併用療法が多かった。平均観察期間6.7±4.6年の間に4例が死亡、2例が肺移植(同時にASD閉鎖術)を受け生存、残り7例中5例はWHO機能分類II度と安定しているが、2例はIII度で肺移植を検討中。【考察】心房中隔欠損に合併した肺動脈性肺高血圧症は小欠損から大欠損、特発性PAH類似からEisenmenger physiologyまで病態が多岐に及ぶ。PAH特異的治療薬が有効な症例が存在するが、treat and repairを含め、個別に治療戦略を立てる必要がある。